長時間作用型のソマトスタチン誘導体である酢酸オクトレオチドLARは、中腸の悪性の神経内分泌腫瘍NET)の進行を遅らせることが明らかとなった。未治療の患者を対照にプラセボを設定して実施された多施設フェーズ3b臨床試験PROMIDの結果、明らかとなったもの。オクトレオチドの悪性NETに対する有効である可能性を示した試験は既にあるが、プラセボを対象にした試験で効果が明らかとなったのは初めて。成果は1月15日から17日にサンフランシスコで開催された2009 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で、ドイツPhilipps UniversityのRudolf Arnold氏によって発表された。

 PROMID(Placebo-controlled prospective Randomized study on the antiproliferative efficacy of Octreotide LAR in patients with metastatic neuroendocrine MIDgut tumors) と名付けられたフェーズ3b臨床試験は、新規に中腸の悪性NETと診断された85人を対象に実施された。4週間置きに酢酸オクトレオチドLAR30mgを投与された42人とプラセボを投与された43人を比較したもので、主要評価項目は腫瘍の増悪までの時間(TTP)だった。酢酸オクトレオチド群69.1%、プラセボ群62.8%の患者が登録前に原発巣の切除を受けていたが、残りの患者は病状が進行しており手術不能だった。全体として患者の86%が肝転移を起こしていた。

 試験の結果、腫瘍が増悪するまでの期間の中央値は、酢酸オクトレオチドLAR投与群が14.3カ月(95%信頼区間11.0-28.8)だったのに対して、プラセボ投与群では6.0カ月(95%信頼区間3.7-9.4)で、明らかに酢酸オクトレオチドLAR群の方が延長された。投与開始後6カ月時点で酢酸オクトレオチドLARの投薬を受けた患者42人中部分奏効(PR)が1人、安定状態(SD)が28人だったのに対して、プラセボの投薬を受けた患者43人中PRが1人、SDが16人だった。

 また、研究グループは、肝転移の量が10%未満、原発巣を切除した患者で、最も良い結果が得られることも見出した。肝転移量が10%以下であった患者で比較すると、酢酸オクトレオチドLAR投与群(32人)のTTP中央値は27.14カ月だったのに対してプラセボ群(32人)のTTP中央値は7.21カ月だった。肝転移量が10%超の患者では、酢酸オクトレオチドLAR投与群(10人)のTTP中央値は10.35カ月だったのに対してプラセボ群(11人)のTTP中央値は5.46カ月だった。全生存期間中央値は、プラセボ群が73.7カ月だったが、酢酸オクトレオチドLAR投与群は中央値に到達していない(77.4カ月超)。

 患者はよく投与に耐えることができた。重篤な副作用は胃腸系のものが酢酸オクトレオチドLAR投与群で6件、プラセボ群で8件、造血系のものが酢酸オクトレオチドLAR投与群で5件、プラセボ群で1件、倦怠感、発熱の一般的な健康状態のものが酢酸オクトレオチドLAR投与群で7件、プラセボ群で2件見られた。重篤な副作用酢酸オクトレオチドLAR投与群で11人、プラセボ群で10人に認められた。副作用による投薬の中止は酢酸オクトレオチドLAR投与群で2人、プラセボ群で0人だった。