ベバシズマブを化学療法と併用で投与する場合、静脈血栓塞栓VTE)のリスクがあるが、Dダイマーの数値が3μg/mL以下であれば、リスクは小さくベバシズマブの投与ができる可能性がわが国の臨床研究によって明らかとなった。3μg/mLを超えていれば血栓ができている可能性もあり、他の上昇要因を排除したあと、VTEを精査することにつながると期待できる。成果は1月15日から17日にサンフランシスコで開催された2009 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で国立がんセンター東病院の望月暁氏によって発表された。

 Dダイマー値の上昇は、VTEの存在を意味していると考えられている。しかし、ほとんどの癌患者ではDダイマーの値が上昇しており、大腸癌でベバシズマブと化学療法の併用を受ける際に、VTEリスクの指標となるDダイマー値が明らかではなかった。

 研究グループは、感度と特異度が最も適切になるカットオフ値を選べるReceiver Operating Characteristic(ROC)解析という手法を用いて、レトロスペクティブに解析し、リスクの指標となるカットオフ値を模索した。臨床研究の対象は、組織学的に明らかな転移性手術不能大腸腺癌で、ベバシズマブを伴う化学療法が受けたことのない、VTEができたことのない患者で、ベバシズマブを伴う化学療法を受ける前と受けている最中に、繰り返してDダイマーの測定とCTスキャンによるVTEと抗腫瘍効果の測定を行った。

 調べられたのは、69人の患者で合計817回Dダイマー値の測定を行った。43人がFOLFOXレジメンと併用で、25人がFOLFIRIレジメンと併用で、1人が5-FU+ロイコボリンとの併用でベバシズマブの投与を受けていた。ベバシズマブ投与前のDダイマーの基準値の中央値は1.2μg/mLだった。VTEは4人の患者で発生した。ROC解析の結果、VTEのリスクのカットオフ値は3μg/mLとなった。3μg/mLでの感度は75.0%で特異性は72.3%だった。

 実際に69人のうち21人はベバシズマブ投与中にDダイマー値が3μg/mL超となり、11人は特発性、3人はVTE、6人は腫瘍の進行、1人は敗血症、1人は腫瘍の壊死によるものだと分かった。3μg/mL以下に値が維持できた48人の患者のうち、VTEを起こした患者は1人だけだった。この結果、ベバシズマブ投与中にDダイマー値が3μg/mL超になるとVTEの相対リスクが6.9倍になるという。

 今回の研究成果は評価検体数がそれほど多くなく、より多くの検体で評価する必要があるが、ベバシズマブの安全な投与につながるものと期待できる。