米Micromet社は1月12日、独Bayer Schering Pharma社と、前臨床段階にある固形癌治療用BiTE抗体のオプション、協力、ライセンスに関する契約を結んだと発表した。

 Micromet社は、癌、炎症、自己免疫疾患の治療を目的として新たな抗体医薬を開発しているバイオ製薬会社。専有のBiTE(Bi-Specific T Cell Engagers)抗体は、細胞障害性T細胞に癌細胞の攻撃を指示する。

 通常、T細胞は抗体に対する受容体を持たないため、この細胞に抗体が直接作用することはできない。そこで同社は、一方でT細胞表面の受容体を認識し、もう一方で特定の癌抗原を認識する組み換え抗体、BiTEを開発した。これを用いれば、細胞障害性T細胞と癌細胞がBiTE抗体を介して結合、T細胞からパーフォリンやグランザイムが放出されて癌細胞はアポトーシスに至る。

 BiTE抗体が存在すればT細胞は次々と癌細胞を破壊していくため、低濃度のBiTEと、癌細胞に比べ少ない数のT細胞でも、悪性細胞への攻撃は続く。このため、既存の癌治療用抗体に優る抗癌効果が期待できるという。

 契約に基づいてBayer社は、Micromet社が前臨床開発を進行中の癌治療用BiTE抗体のなかの1製品(この抗体の標的がどのタイプの癌かは未公表)のライセンスを獲得するための独占的なオプションを得る。引き替えにBayer社は、450万ユーロ(約600万ドル)を支払う。

 Bayer社が2010年1月5日までにオプション行使料を追加支払いすれば、オプションは行使できる。これにより、両社の正式な協力が開始され、フェーズI試験完了まで継続されることになる。フェーズIまでの開発状況に基づいて、Bayer社は、その製品の開発と商業化の権利を取得するかどうかを判断する予定だ。

 Micromat社に支払われるオプション行使料と成果達成報酬は、最高で2億9000万ユーロ(約3億9000万ドル)になる見込みだ。商品化に成功すれば、製品売り上げに対する2桁のロイヤルティーの支払いも予定されている。また、共同開発の実施が決まれば、Micromet社は、その製品候補の開発に要した費用の支払いも受ける可能性がある。

 既にスイスMerck Serono社、米MedImmmune社がMicromet社と共同で、特定の癌治療用BiTE抗体の開発を進めている。


■米Micromet社のリリース
Micromet Enters Into Agreement for Solid Tumor BiTE Antibody with Bayer Schering Pharma AG