エストロゲンプロゲスチンを併用するホルモン補充療法乳癌リスクを高める可能性が示されて以来、多くの女性がこの治療を中止した。ところが、米Minnesota大学公衆衛生学部のJill R. Johnson氏らは、ホルモン補充療法が閉経女性の大腸癌リスクを低減する可能性を新たに示した。詳細は、米がん研究学会(AACR)のCancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention誌2009年1月号に報告された(参考文献1)。

 著者らは、Breast Cancer Detection Demonstration Projectの追跡研究に参加した5万6733人の閉経女性のデータを分析し、ホルモン補充療法の継続期間および実施時期と大腸癌の関係を調べた。

 ホルモン補充療法歴に関する情報と大腸癌危険因子に関する情報は、電話と郵便を使った聞き取り調査により1979-1998年に入手した。

 ホルモン補充療法は、エストロゲン単剤とエストロゲン/プロゲスチン併用に分類したほか、併用療法をプロゲスチンを逐次的に投与する(投与期間は1サイクルあたり15日未満)方法といずれも連続投与する方法に分けた。

 調査の結果、平均15年の追跡期間で、960人が大腸癌を新たに発症した。

 エストロゲン単剤療法と2剤併用療法のどちらも、大腸癌リスクの低下と関係していた。

 エストロゲン単剤療法歴のある女性全体では、大腸癌リスクの低下は17%(相対リスク0.83、95%CI:0.70-0.99)だった。

 単剤群の間で、リスク低減が26%(相対リスク0.74、95%CI:0.56-0.96)と最も大きかったのは、10年以上にわたる使用者だった。続いて現在の使用者が25%(相対リスク0.75、95%CI:0.54-1.05)となったが、こちらは統計学的には有意でなかった。

 2剤併用群全体のリスク低減は22%(相対リスク0.78、95%CI:0.60-1.02)だが、有意ではなかった。逐次的使用群のリスク低減は36%(相対リスク0.64、95%CI:0.43-0.95)と高まったが、過去に2剤を併用しており使用中止から5年超経過している女性ではリスク減少は45%(相対リスク0.55、95%CI:0.32-0.98)と最大になった。

 過去に行われた研究の結果は、これらのホルモンがインスリン様成長因子のレベルを下げる可能性を示しており、著者らはそうした作用が大腸癌リスクの低減に関わっているのではないかと推測している。

■参考文献
1)Menopausal Hormone Therapy and Risk of Colorectal Cancer(Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention 18, 196-203, January 1, 2009。アブストラクト