全国の市区町村の約半数が国の指針に従わずにPSAを用いた前立腺がん検診を行っていることが明らかになった。これは、厚生労働省健康局総務課がん対策推進室が行った調査の結果。昨年12月26日に発表された。

 今回の調査は、全国の市区町村1822を対象に、がん検診の実施状況を調査したもの。全市区町村から回答を得ている(回収率100%)。

 その結果、胃がん、子宮頸がん、肺がん、大腸がんにおいて、国の指針通りにがん検診を行っている市区町村は9割を超えていた(胃がん;97.8%、子宮頸がん;93.9%、肺がん;92.3%、大腸がん;97.8%)。

 一方、乳がんに関しては87.9%に留まっていた。ただし、乳がん検診において、国の指針通りに実施していない市区町村のうち約4割が、マンモグラフィ検査に超音波などの検査を併用していた。超音波を用いた検診は、現在、大規模な臨床試験によりその有効性が調査されている段階だ。国の指針としては、この臨床試験の結果次第で、超音波を用いた検診も推奨する方向となっている。乳がん検診では、有望と期待されている超音波検査を結論を待たずに導入している市区町村が多いことが、指針通りの実施率の低さに貢献したようだ。

 一方、国の指針以外の方法によるがん検診を実施している市区町村は1146施設と6割(62.9%)を超えていた。そのうち、最も実施率が高かったのが、前立腺がん検診としてのPSA検査だ(900施設、49.4%が実施)。

 PSA検査を用いた前立腺がん検診に関しては、厚労省のガイドラインが、税金を投入して行われる検診としては推奨できないという結論を出している。泌尿器科学会は同ガイドラインに猛反発した経緯がある。しかし、その後、米国では、75歳以上にPSAを用いた前立腺がん検診を行わないことが推奨された。

 がん検診の周知方法としては、最も周知力があると考えられる、個別訪問による通知を実施している市区町村が634(34.8%)存在していた。また、対象者に個別に郵送などで通知している市区町村は1049(57.6%)。最も多かった周知方法は広報誌を利用したもので、1590市区町村(87.3%)が実施していた。