イキサベピロンカペシタビンを併用すると、トリプルネガティブ(エスロトゲン受容体プロゲステロン受容体HER2の全てが陰性)の転移性または局所進行性乳癌患者の無進行生存期間を延長できることが示唆された。米California大学San Francisco校Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏は、フェーズ3試験2件の分析結果を第31回サンアントニオ乳がんシンポジウムで2008年12月12日に報告した。

 トリプルネガティブの乳癌は、ホルモン療法やHER2を標的とする治療に反応せず、早期に再発を経験しやすい、治療の選択肢は限られているという問題がある。そして、トリプルネガティブ患者に無進行生存期間の有意な延長をもたらす新たな治療はこれまでなかった。

 Rugo氏は、あわせて1973人の患者を登録した2件のフェーズ3試験(046と048)のデータを分析した。2件の試験はいずれも、転移性または局所進行性の乳癌患者を対象としており、046はアントラサイクリンとタキサン系の薬剤に抵抗性を示す患者、048はこれらによる治療歴がある患者を登録していた。

 主要エンドポイントは046試験が無進行生存期間、048試験は全生存期間、2次エンドポイントは046試験が全生存期間、048試験が無進行生存期間に設定されていた。いずれの試験も、イキサベピロン併用群で無進行生存期間の有意な延長を示した。全生存期間にも延長傾向が認められたが、差は有意にならなかった。

 これらの試験は同様の条件で行われていたため、個々の患者のデータをプールして分析することが可能だった。

 登録された患者のうち、トリプルネガティブ患者443人に限定してデータを分析したところ、カペシタビン単剤群(208人)に比べ、イキサベピロン併用群(191人)で無進行生存期間の有意な改善が見られた。無進行生存期間の中央値は併用群4.2カ月、単剤群1.7カ月、ハザード比は0.63(95%信頼区間0.52-0.77)となった。併用群の奏効率(ORR)は31%、カペシタビン単剤群では15%だった。

 全生存期間については併用群で改善傾向が見られた(併用群10.3カ月、単剤群9.0カ月、ハザード比0.87、0.71-1.07)が、差は有意でなかった。

 イキサベピロンはエポチロンB誘導体で、チューブリンの重合を促進する。微小管重合促進作用はタキサンより強力だ。米国では既に承認を得ており、わが国でも乳癌を対象に承認申請が提出されている。