術後薬物療法としてアントラサイクリンによる治療歴がある転移性乳癌患者において、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤(商品名「ドキシル」)とドセタキセルの併用療法がドセタキセル単剤投与に比べて増悪までの期間(TTP)および全奏効率を有意に改善したことが、第3相試験の結果から明らかになった。

 この結果は、第31回サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、米国のMontefiore-Einstein Cancer CenterのBreast Evaluation CenterのディレクターのJoseph Sparano氏が12月14日に発表した。

 この試験は無作為化並行非盲検多施設試験で、対象は1年以上の無病期間がある、アントラサイクリンによる治療歴を有する19カ国の乳癌患者751人。ドセタキセル単剤群では75mg/m2、併用群ではドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤30mg/m2とドセタキセル60mg/m2を21日サイクルの1日目に投与した。治療は忍容不可能な治療関連毒性や疾患の進行が発生するまで継続した。主要評価項目はTTP、副次的評価項目は奏効率、全生存率、安全性とした。

 ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤とドセタキセルの併用群では、ドセタキセル単剤群と比べて増悪が発生するリスクが35%減少した(ハザード比0.65、p=0.000001)。TTPの中央値は、単剤群7.0カ月、併用群9.8カ月だった。

 治療後に腫瘍が縮小した割合で評価した奏効率は、単剤群26%、併用群35%であり、有意に併用群で高い結果となった(p=0.0085)。全生存率のデータはまだ出ておらず、最終的なプロトコールで定義された生存率の解析は、485のイベントが発生した後に計画されている。

 安全性プロファイルは2種の薬剤について既知の毒性と一致していた。さらに、症候性の心イベントの発生率は、グレード2以上では単剤群4%、併用群5%であった。症候性心不全は両群ともに1%、不整脈は単剤群3%、併用群4%と報告された。プロトコールに定義された左室駆出率(LVEF)の低下は両群で5%の患者に発生した。

 本試験の筆頭研究者で、Medicine & Women’s Health at the Albert Einstein College of Medicineの教授でもあるJoseph Sparano氏は、「アントラサイクリンは転移性乳癌に対する薬剤であるが、心毒性に対する懸念から、臨床腫瘍医は術後薬物療法で同剤の投与を受けた患者への使用を控える状況にあった。本試験により、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤とドセタキセルの併用は、アントラサイクリンによる術後薬物療法を先行して受けている転移性乳癌患者の治療に有効である可能性が示された」と語っている。