新しい作用機序の抗癌剤で、経口SYK阻害剤であるfosamatinib disodiumが、前治療がうまくいかなかったびまん性大細胞型B細胞リンパ腫慢性リンパ性白血病小リンパ球性リンパ腫に高い効果を示し、濾胞性リンパ腫の安定状態を維持できることがフェーズ1/2試験で明らかとなった。成果は、12月6日から9日にサンフランシスコで開催された米国血液学会で、米James P.Wilmot Cancer CenterのJonathan W.Friedberg氏によって発表された。

 SYKはB細胞受容体の細胞内情報伝達に関与している分子。B細胞受容体はほとんどのB細胞リンパ腫で維持されており、in vitroの実験でBCRを介した情報伝達がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の生存を高めることが示されている。fosamatinib disodiumはATP競合的にSYKを阻害すると考えられている。関節リウマチや特発性血小板減少性紫斑病でフェーズ2が行われ、活性が確認されている。

 フェーズ1試験は13人の患者を対象に行われた(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者3人、マントル細胞リンパ腫3人、濾胞性リンパ腫5人、慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫2人)。fosamatinib disodiumを200mgを1日2回投与する群(6人)と250mgを1日2回投与する群(7人)で評価したところ、好中球減少、血小板減少などの用量制限毒性が出現したことから、フェーズ2の用法用量は、200mgの1日2回経口投与となった。

 フェーズ2試験は、再発または難治性のB細胞非ホジキンリンパ腫患者68人で実施された。患者はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(23人)、濾胞性リンパ腫(21人)、その他のB細胞リンパ腫(24人)の3グループに分けて行われた。その他のB細胞リンパ腫には、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(11人)、マントル細胞リンパ腫(9人)、MALTリンパ腫(3人)、リンパ形質細胞性非ホジキンリンパ腫(1人)が含まれていた。患者平均で5種類の前治療を受けており、多くの患者が自家幹細胞移植や放射免疫療法を受けていた。

 フェーズ2試験の結果、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者では奏効率は22%(1人が完全寛解、4人が部分寛解)、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者では55%(6人が部分寛解)、マントル細胞リンパ腫患者では11%(1人が部分寛解)、濾胞性リンパ腫患者では10%(2人が部分寛解)。また、安定状態が21人の患者で得られ、その内訳は、11人が濾胞性リンパ腫、4人がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、4人がマントル細胞リンパ腫、2人が慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、1人がMALTリンパ腫だった。

 副作用のほとんどは血液学的なもので可逆的なものだった。重篤な副作用は発熱性好中球減少が5人に出現、汎血球減少症、上腹部痛、下痢、腎不全、上大静脈閉塞が1人づつに発生した。グレード4の好中球減少が7人、グレード4の血小板減少が3人に生じた。