多発性骨髄腫治療薬のボルテゾミブを含んだレジメンは、多発性骨髄腫でしばしば見られる合併症の腎機能障害も改善する効果があることがレトロスペクティブな解析の結果、明らかとなった。また、腎機能の改善効果は、生存期間の改善効果と関連があることも分かった。さらにシスタチンCの数値が高い場合、腎機能回復の可能性が低くなる可能性など腎機能改善に関する因子が指摘された。データは、12月6日から9日にサンフランシスコで開催されている米国血液学会でギリシャUniversity of AthensのMaria Roussou氏によって発表された。

 解析は、腎機能不全を起こした10人の新たに診断された多発性骨髄腫患者と36人の再発/難治性の多発性骨髄腫患者でボルテゾミブの投薬を受けた患者を対象に行われた。17人はボルテゾミブとデキサメサゾンの併用投与を受けており、29人はさらにサリドマイドやドキソルビシン、リポソーム型ドキソルビシン、メルファラン、レナリドマイドなどと併用投与を受けていた。

 腎機能の完全奏効は治療後糸球体ろ過量(GFR)が50mL/分未満だったのが60以上mL/分となった場合とした。腎機能の部分奏効はGFRが15mL/分未満だったのが、30から59mL/分に上昇した場合とした。腎機能の微小奏効はGFRが15mL/分未満が15から29mL/分になった場合、15から29mL/分だったのが30から59mL/分となった場合とした。

 解析の結果、30%の患者が腎機能完全奏効、11%が腎機能部分奏効、17%の患者が腎機能微小奏効となり、2人の患者が腎透析から離脱することができた。推算糸球体濾過量の中央値は、ボルテゾミブの治療サイクル数に応じて上昇した。腎機能奏効までの時間の中央値は11日(4-84)で、腎機能完全奏効までの時間の中央値は17日(11-84)だった。また、腎機能奏効が見られた患者の方が、見られなかった患者よりも生存率が高くなる傾向が示された(p=0.023)。また骨髄腫に対し部分奏効以上が得られた患者では腎機能改善率が76%と高かったのに対して、骨髄腫治療に奏効しなかった患者では腎機能改善率は29%に留まった。推計GFRの数値による腎機能の改善効果には統計学的に有意な差はなかった。

 一方、19人の患者で血清中のシスタチンC量を測定したところ、腎機能が不全の患者で、中央値は2.99mg/L(0.98-27)と上昇しており、2mg/L以下の患者の患者の腎機能改善率は67%だったのに対して、2mg/Lを超える患者では15%に留まった。シスタチン量が腎機能回復が見込みにくい患者の選別に使える可能性が示された。また未治療の患者と軽鎖のみの骨髄腫患者の場合、腎機能改善効果が現れる率が高いことも明らかとなった。