米国在住の全ての人種において、また男性女性の両方で、癌罹患率死亡率が低下した。米癌協会(ACS)、米疾病管理センター(CDC)、米癌研究所(NCI)と北米癌登録協会(NAACCR)の研究者たちは、1975年から2005年までの分析結果を国立癌研究所(NCI)ジャーナル電子版に2008年11月25日に報告した。

 著者らは、1975-2005年の、全ての種類の癌を総合した1年あたりの年齢標準化癌罹患率と癌死亡率の変化を分析した。また罹患率、死亡率が上位15位までの癌のそれぞれについて、罹患率と死亡率の変化を調べた。

 癌全体の罹患率は、米国人全体で1999年から2005年に年間0.8%減少していた。男性では2001年から2005年に年間1.8%減少、女性では1998年から2005年に年間0.6%減少していた(全て統計学的に有意な減少)。これら全ての比較において罹患率減少が認められたのは初めてだ。

 罹患率減少に貢献したのは、男性に多い癌の上位3つ(前立腺癌、肺癌、大腸癌)と、女性に多い癌の上位2つ(乳癌と大腸癌)の罹患率低下だった。

 一方、癌死亡率は男女ともに1990年代前半から減少し続けているが、1年あたりの減少幅は大きくなりつつある。

 人種別に全ての癌をあわせた罹患率を調べたところ、どの人種においても1996年から2005年の間に罹患率は低下していた。死亡率も同様の傾向を示した。

 米国の癌死亡の約30%に喫煙が寄与することから、著者らは、肺癌罹患率と肺癌死亡率について詳細に分析した。

 肺癌罹患率の1975-2005年の変化を見ると、男性では1990年以降減少が続いているが、女性では2003年まで一貫して上昇、それ以降は横ばい状態だった。男女別の肺癌死亡率も同様の傾向を示した。

 男性では、米国内のどの地域でも肺癌の罹患率と死亡率が低下していた。ところが、女性の場合には地域差が大きく。米国中西部または南部の16州を含む全米18州ではいまだ女性の肺癌罹患率と死亡率が上昇していた。他の地域に比べそれら地域では女性の喫煙率が高く、1997年から2006年の喫煙率低下幅が小さかった。なお、全米で唯一、カリフォルニア州では女性の肺癌罹患率と死亡率が有意に減少していた。

 著者らは、癌罹患率と死亡率の低下が今後も持続し、低下幅が拡大していくためには、既存の情報の効率よい活用を全米で推進すること、さらに現在の癌予防と早期発見のための対策を改善し、よりよい治療法を生み出すための研究を加速する必要がある、という。その一環として、喫煙者を減らすための努力をさらに強化し、地域差を無くしていくことが重要と考えられた。