米Ohio州立大学は、乳癌患者のためにデザインされた心理的な介入プログラムが、健康状態全般を改善するのみならず、再発リスク、乳癌死亡リスク、全死因死亡リスクを有意に減らしたとCancer誌電子版に2008年11月17日に報告した。

 これまでに行われた研究で、心理的な介入が乳癌患者のストレスを軽減し、行動を変化させて、健康の改善に役立つことは示されていた。が、実はそれ以上の効果が期待できるようだ。

 この研究は、同大学が長期にわたって行っているStress and Immunity Breast Cancet Project at Ohio State試験の一部として行われた。対象は、外科的治療を受けたステージIIとIIIの乳癌患者227人で、半数が介入群に割り付けられ、通常のケアと心理プログラムの適用を受けた。残りの半数は対照群として通常のケアのみ受けた。

 介入群は、週1回、臨床心理士主導のグループ・セッション(8-12人)に4カ月間出席し、ストレスを減らすための筋肉弛緩法、疲労など一般的な問題の解決法、家族や友人からの支援を得る方法、運動と食事に関する有益な情報、治療の副作用に対する対処法、治療を継続しそれが終了した後にも定期的な受診を欠かさないことの重要性などを学んだ。4カ月以降は、月1回のセッションに8カ月間参加した。

 研究者たちは2007年10月まで患者を追跡し、期間は最短で7年、最長で13年、中央値11年だった。

 追跡期間中に再発した患者は212人中62人(29%)、死亡は227人中54人(24%)だった。Cox比例ハザード解析を行ったところ、対照群と比較した介入群の再発の多変量調整ハザード比は0.55(P=0.034)、乳癌死亡のハザード比は0.44(P=0.016)、全死因死亡のハザード比は0.51(P=0.028)で、リスク低減は全て有意だった。

 さらに、乳癌で死亡した患者のみについて比較すると、生存期間は介入群で長かった(平均6.1年と4.8年)。あらゆる原因で死亡した女性について比較しても、生存期間は介入群の方が長かった(6年と5年)。介入で学んだ様々な知識が、心疾患やその他の癌による死亡も減らした可能性がある。

 なお、介入群に割り付けられたがセッションの20%未満しか参加しなかった女性(114人中16人)を除いて乳癌死亡リスクを求めたところ、介入によるリスク低減は56%から68%まで上昇した。

 先に行われた同じ患者群を対象とする研究では、介入群に免疫機能の亢進が見られている。一連の研究は、心理的な介入が癌患者の予後向上に有用なことを示唆した。