米Genentech社は、2008年11月3日、抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体製剤ベバシズマブ(商品名「アバスチン」)を治療歴のある膠芽腫患者に適用するための追加生物製剤承認申請(sBLA)を米食品医薬品局(FDA)に提出したと発表した。

 FDAが申請を受理すれば、迅速承認に向けて審査が行われることになる。迅速承認は、生命を脅かす深刻な病気に対する治療薬については、正式なエンドポイントではなく、臨床利益を示唆する予備的なエビデンス(代替マーカー)に基づいて暫定的に治療適用を認可するもので、患者に希望をもたらす製品をより早くベッドサイドに届けることを可能にする。

 膠芽腫は脳腫瘍の中でも悪性度が高く、治療の選択肢はほとんど無い。第一選択治療として化学療法と放射線治療が用いられるが、その後90%以上の患者が再発する。第一選択治療が有効でなくなった時点で、効果が期待できる治療はわずかしか残らない。

 ベバシズマブの適応拡大申請は、オープンラベルの多施設無作為化フェーズ2 BRAIN試験で得られた好結果に基づく。

 この試験は、第一選択または第二選択治療(全員がテモゾロミド投与と放射線治療を経験済み)のあとで再発した167人の患者を登録、2分してベバシズマブを単剤で投与(85人)、またはイリノテカンと併用(82人)する治療を最高104週間継続した。

 主要エンドポイントは6カ月の時点の無増悪生存率と客観的奏効率(腫瘍が50%以上縮小する「著効」を経験した患者の割合)に、2次エンドポイントは全生存期間、安全性などに設定されていた。

 単剤投与群では、6カ月の時点の無増悪生存率が43%、著効と判定された患者が28%で、全生存期間の中央値は9.3カ月になった。

 有害事象はこれまでのベバシズマブ臨床試験で見られたと同様だった。

 得られた結果は、イリノテカン併用群のデータとともに08年5月末から6月はじめに開催された第44回米臨床腫瘍学会(ASCO)で報告された。

 同社は国際的なフェーズ3試験の開始を2009年前半に計画している。新たに膠芽腫と診断された患者を対象に、第一選択である化学療法と放射線治療に加えてベバシズマブを投与する試験になる予定だ。

 日本国内では、ベバシズマブは、治癒切除不能な進行性、再発性の大腸癌を対象に承認を得ている。中外製薬によると、膠芽腫への国内開発はいろいろな点を考慮し現在検討中だという。

 米国では、大腸癌の他、化学療法歴のないHER2陰性乳癌と転移のある乳癌患者、および、切除不能な局所進行型の転移性または再発性非小細胞肺癌の患者にも適応されている。