新たな経口機能性抗腫瘍ヌクレオシド製剤であるTAS-102が、国内で実施された進行固形癌患者対象のフェーズ1臨床試験で有望な結果が得られた。米国での推奨用量である60mg/m2を超えた70mg/m2でも患者は投与に十分耐えることができ、多くの治療を経てきた患者にも関わらず、一部の患者で抗腫瘍効果が確認された。データは10月21日から24日にスイスジュネーブで開催された第20回EORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer Therapeuticsで、静岡県立静岡がんセンターの小野澤祐輔氏によって発表された。

 TAS-102はトリフルオロチミジン(FTD)とその分解酵素であるチミジンホスホリラーゼの阻害剤が2対1の比率で構成された製剤。FTDはリン酸化を受けて活性型となり、チミジル酸生成酵素を阻害するとともに腫瘍細胞のDNAの中に取り込まれ、DNA合成、修復を阻害することで抗腫瘍活性を発揮する。現在CPT-11と併用する大腸癌を対象としたフェーズ1試験が行われているほか、単剤として治療法のない大腸癌患者を対象にしたフェーズ2/3試験が計画されているという。

 フェーズ1臨床試験は21人の固形癌患者(12人が直腸癌、6人が結腸癌、1人が胃癌、1人が胃癌と前立腺癌、1人が食道癌)を対象に行われた。患者の年齢中央値は59歳(38-68)。既に受けた化学療法のレジメン数の中央値は3(2-6)だった。TAS-102は1週間のうち1日2回5日間連続投与を2週行ったあと2週間休薬することを1サイクルとして投与が行われた。

 フェーズ1試験はTAS-102の用量を5段階に分けて行われた。30mg/m2には6人、40mg/m2には3人、50mg/m2には3人、60mg/m2には3人、70mg/m2には6人が登録された。

 70mg/m2まで投与したにも関わらず、最大耐用量には到達しなかった。1サイクル目で2人の患者が用量制限毒性を経験した。1人は30mg投与群で、グレード4の好中球減少症、白血球減少症、血小板減少症を起こし、1人は70mg投与群でグレード4の好中球減少症と白血球減少症を起こした。グレード3、4の好中球減少症の頻度は、用量が増えるにつれて高まった。

 治療に関連した副作用で多く見られたものは、好中球減少症、白血球減少症、貧血、血小板減少症、吐き気、食欲不振、倦怠感だった。

 非血液学的な副作用では重篤なものは少なく、グレード3以上のものは全体で、食欲不振と倦怠感が1件ずつあるだけだった。グレード3または4の血液学的毒性は好中球減少症(42.9%)、白血球減少症(33.3%)、血小板減少症(33.3%)だった。フェーズ2の推奨用量は70mg/m2とされた。

 一方、抗腫瘍効果は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)はなかったものの、安定状態(SD)が全投与段階で認められた。30mg群では6人中2人、40mg群では3人中1人、50mg群では3人中1人、60mg群では3人中3人、70mg群では6人中4人がSDとなり、CR、PR、SDを合わせた全体の疾患制御率は52.3%だった。