ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のpanobinostat(LBH589)は、進行固形癌を対象としたわが国でのフェーズ1試験で有望な結果が得られたことが明らかになった。この薬は癌細胞の増殖などに関わる経路を阻害し、癌のアポトーシスを誘引すると期待されている。患者は欧米の試験と同様週3回20mgの経口投与に十分耐えることができ、一部の患者で抗腫瘍活性が確認された。

 結果は10月21日から24日にスイスジュネーブで開催された第20回EORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer Therapeuticsで大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター肺腫瘍内科の岡本紀雄氏によって発表された。岡本氏は「多くの化学療法を受けた患者でSD(安定状態)を得た患者が複数出たことから、この薬剤は有望だ」と語った。

 panobinostatはわが国で皮膚T細胞リンパ腫と成人T細胞リンパ腫を対象にフェーズ2試験が行われている。

 フェーズ1臨床試験は、組織学的に確認された固形癌患者と皮膚T細胞リンパ腫患者を対象に、毎週月曜日、水曜日、金曜日に用量を3グループに分けて投与した。1日当たり10mg投与群(3人)、15mg投与群(4人)、20mg投与群(6人)で計13人を対象とした。海外では1日当たり30mgの投与で用量制限毒性が見られていた。

 試験の結果、最も多く見られた副作用は胃腸毒性(吐き気、下痢)と血小板減少症だった。すべての副作用は支持療法で管理可能だった。循環器毒性は軽度で無症候性のものだった。グレード3/4の副作用は20mg投与群で血小板減少が3件、好中球減少症、ヘモグロビン減少が1件ずつ、15mg投与群で血小板減少が2件、体重減少が1件、10mg投与群で吐き気、嘔吐が1件ずつ見られた。3人の患者で(2人は15mg群、1人は20mg群)血小板減少のために投与量の減量が行われた。血小板のレベルはpanobinostat治療を終了すると急速に回復した。

 一方、抗腫瘍効果は7人の患者(10mg群3人、20mg投与群4人)でSDが得られた。20mg投与群の2人の患者では投薬開始から6カ月以上にわたるSDが得られた。20mg投与群の1人の非小細胞肺癌患者では治療期間中(8カ月)CEA値が安定化した。