BRAF遺伝子に変異を持つ転移性大腸癌患者は、セツキシマブやパニツムマブのような抗EGFR抗体療法に効果がない可能性が明らかとなった。抗EGFR抗体はKRAS遺伝子に変異があると効果が低いが、新たなバイオマーカーが明らかとなった。成果は10月21日から24日にスイスジュネーブで開催されている第20回EORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer TherapeuticsでイタリアUniversity of Turin School of MedicineのFederica Di Nicolantonio氏によって発表された。

 抗EGFR抗体療法は、化学療法抵抗性の転移性大腸癌患者に行われるが、有効性は10%から20%で、無効例の30%から40%はKRASに突然変異が存在するためで、残りについては理由は不明のままだったという。

 研究グループは、イタリアOspedale Niguarda Ca'Grandaとスイスthe Oncology Institute of Southern Switzerlandでセツキシマブかパニツムマブの投与を受けた進行大腸癌患者から取り出した、113個の腫瘍の遺伝子解析を実施した。その結果、まずKRASの突然変異が34人(30%)の患者で見出され、その変異が薬剤抵抗性と関連していることを確認した(レスポンダーは6%にあたる2人で非レスポンダーは94%にあたる32人)。

 そしてKRASに変異のない79人の患者のうち11人の患者でBRAF遺伝子にV600Eという変異があることを見出した。2つの遺伝子にある変異は相互排他的なものだった。11人のBRAF変異を持つ患者は全例非レスポンダーだった。BRAFが野生型だった68人中レスポンダーは22人(32%)、非レスポンダーは46人(68%)だった。

 抗EGFR抗体療法で部分奏効(PR)を得た患者のうち92%がKRAS、BRAFともに野生型の患者で、8%がKRASに変異を持つ患者となり、BRAFに変異を持つ患者はいなかった。

 Nicolantonio氏は「BRAF変異がある腫瘍を持つ患者は治療に反応せず、治療がうまくいった患者はBRAF変異がない患者だった。このことは抗EGFR療法が働くためにはBRAFが野生型でなければならないことを示しており、BRAFの状態が患者を選択するための新たなバイオマーカーになることが示唆される」と語った。また、BRAFに変異を持つ群は変異がない群に比べて、無増悪生存期間、全生存期間が有意に短いことも指摘した。

 研究グループは実験室レベルの研究で、BRAF遺伝子に変異を持つように改変した大腸癌細胞は劇的にセツキシマブとパニツムマブの効果を弱めることを確認した。さらにBRAFの阻害剤であるソラフェニブを加えると、効果が回復することを見出した。BRAFに突然変異を持つ患者には抗EGFR抗体とBRAFを阻害する薬剤の併用が有効である可能性が示された。