肝細胞癌に対する分子標的薬であるTSU-68が、フェーズ1/2臨床試験で有望な結果を得たことが明らかとなった。また、バイオマーカーでPDGF、VCAM-1、LDHの血漿中のレベルが高いほどTSU-68の効果が高いことが示された。成果は10月21日から24日にスイスジュネーブで開催されている第20回EORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer Therapeuticsで、国立がんセンター中央病院の奥坂拓志氏によって発表された。TSU-68は肝動脈化学塞栓療法後に投与するフェーズ2試験が行われているという。

 TSU-68は、VEGFR-2、PDGFRのキナーゼを阻害することで血管新生を抑制し、抗腫瘍効果を発揮することが期待されている経口薬。

 フェーズ1/2臨床試験は手術、ラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓術、化学療法、放射線療法が有効でなかった手術不能肝細胞癌患者35人を対象に実施された。患者には1日800mgのTSU-68が投与された。

 その結果、完全奏効(CR)が1人、部分奏効(PR)が2人、安定状態(SD)が15人となり奏効率は8.6%、疾患制御率は51.4%となった。治療成功期間(TTP)の中央値は2.1カ月(95%信頼区間1.2-2.9)で、全生存期間の中央値は13.1カ月(95%信頼区間6.9-26.6)だった。

 一方、副作用はグレード4のものはヘモグロビン減少が1人に認められただけだった。非血液学的な毒性はグレード3のものは腹痛と腹水が1人ずつに見られただけだった。

 またバイオマーカーを調べたところPDGFが1450pg/mL以上、LDHが203IU/L以上、VCAM-1が2370mg/mL以上で分けると疾患制御率、治療成功期間が良いことが明らかとなった。投薬する患者の選択に利用できる可能性がある。