現在、2006年に発行された患者とその家族向けの「大腸癌治療ガイドラインの解説」の改訂作業が進んでいる。第63回日本大腸肛門病学会学術集会では、三重大学消化管・小児外科の井上靖浩氏が改訂のポイントとその進捗状況を報告した。

 井上氏らはまず、三重大学をはじめとする10施設345人の患者・家族を対象に、現在の「大腸癌治療ガイドラインの解説」に記載された内容の理解度を把握するための調査を行った(2006年5〜6月)。大腸がん全般の基礎知識、ガイドラインの解説、Q&Aという各大項目別に4段階に分けて理解度を尋ねたところ「よく分かった」「分かった」との回答はいずれの項目でも約8割と満足できる水準だった。

 大項目内に掲載された項目ごとに、細かく理解度を尋ねたところ、基礎知識の中の緩和医療については「よく分かった」との回答が28.4%と低く、かつ「分からなかった」との回答は3.8%と、他の項目での約1%を大きく引き離す結果だった。さらに、ガイドラインの解説に出てくる緩和医療についても「よく分かった」との回答は22.6%と低く、「分からなかった」との回答が4.2%に上った。

 自由記述方式のコメントとしては「分かりやすく理解できた」「治療を受ける上で役に立った」といった肯定的な意見のほか、「用語や表現が難しかった」「図やイラストを増やしてほしい」「緩和医療の内容が少ない」などの要望が寄せられた。

 こうした結果を基に、井上氏らは、記載内容をより平易な表現に見直し、読み仮名や用語解説、参考資料を増やすことに加え、緩和医療については医師向けのガイドラインよりも内容を充実させるよう、踏み込んだ改良を試みた。同氏らは緩和医療について理解を深めるため、国立がんセンターなどで開催される緩和ケア研修会にも参加したという。井上氏は「改訂作業は、現在ほぼ終了した。患者と医療者の橋渡しとなる治療ガイドラインの解説書をできるだけ早く発行したい」と話した。