大腸癌のFOLFOX療法などで用いられるオキサリプラチンや、乳癌・胃癌などの治療に使用されるパクリタキセルには、末梢神経障害という特有の副作用が知られている。対策としては薬を減量もしくは中止するしかなく、これにより治療効果が低下することが問題視されていた。住友別子病院がんセンター腫瘍内科の山根弘路氏らは、末梢神経障害のコントロールに鎮痛補助薬を用いたところ、高い奏効率が得られたことを第16回日本消化器関連学会週間で発表した。

 対象は、2005年12月から2007年12月までに化学療法を行い、グレード1以上の末梢神経障害を来した消化器癌患者18人(男性11人、女性7人、平均年齢70歳)。緩和医療で用いられるWHO(世界保健機関)式除痛ラダーに準拠した形で鎮痛補助薬投与を試みた。第1段階をアモキサピン、第2段階をバルプロ酸ナトリウムもしくはクロナゼパム、第3段階をメキシレチン塩酸塩に設定し、2週間の経過観察の間に効果不十分もしくは症状増悪と判断した場合には次の段階に移行するとした。第3段階の次の段階は、化学療法の中止もしくは薬剤変更とした。治療効果の判定は、患者の申告により行った。

 その結果、第1段階の奏効率61.1%、第2段階の奏効率50.0%、第3段階の奏効率50.0%で、全奏効率は77.8%だった。最終的に化学療法の中止に至ったのは1人のみだった。鎮痛補助薬による副作用としては、クロナゼパムに伴う眠気を2人、メキシレチンに伴う皮疹を1人に認めたが、いずれも軽度で投薬を続けることができた。

 山根氏は、「抗癌剤によって引き起こされる末梢神経障害は、癌の神経因性疼痛で生じる神経障害のメカニズムと似ていることから、今回の研究を行った。ただ、あくまでも少数例での検討のため、今後、より大規模な臨床試験での検討が望まれる」とまとめた。