米Texas大学M.D.Anderson癌センターの研究者たちは、2008年10月7日、タモキシフェンを用いた乳癌化学予防の新たな影響を報告した。予防目的でタモキシフェンを投与された乳癌ハイリスク女性が、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を発症した場合、プラセボを投与されていた女性グループに比べ、マンモグラフィーでの検出が早まる傾向が発見されたものだ。詳細はNational Cancer Institute誌電子版に2008年10月7日に報告された。

 タモキシフェンが乳癌ハイリスク女性のER陽性乳癌発症を予防することは広く知られている。が、これまで、乳癌と診断される時期への影響は明らかではなかった。

 米Texas大学M.D.Anderson癌センターのYu Shen氏らは、Breast Cancer Prevention Trialのデータを対象に、化学予防を目的とするタモキシフェン投与が乳癌診断までの時間に影響するかどうか調べる後ろ向きの分析を行った。

 1万3388人の乳癌ハイリスク女性を登録、無作為にタモキシフェンまたはプラセボに割り付けた研究で、追跡期間中に174人がER陽性乳癌、69人がER陰性乳癌と診断されている。

 年齢と診断時の腫瘍の大きさで調整し、多変量ロジスティック回帰分析を実施。

 マンモグラフィーによってER陽性乳癌が発見されるまでの時間の中央値は、タモキシフェン群51カ月、偽薬群43カ月で、両群間に有意な差はなかった。一方、ER陰性乳癌発見までの時間は、タモキシフェン群24カ月、偽薬群36カ月でこちらは統計的に有意な差だった(P=0.037)。タモキシフェンによる、ER陰性乳癌のリスク低減は見られなかった。

 なぜ診断までの時間が短くなるのかは不明だ。著者らによると、タモキシフェンがER陰性腫瘍の増殖の速さを変えることを示すデータは認められず、タモキシフェン群ではより若い女性の癌患者が増える、といった現象も見られなかった。

 今回はER陰性乳癌発症者の数が少なかったこともあり、同様の研究で結果を確認する必要があるだろう。