わが国で見られる肝癌のほとんどは、肝炎ウイルスへの感染をきっかけに発症することが知られている。しかし、第16回日本消化器関連学会週間で久留米大学消化器内科の福嶋伸良氏は、肝癌患者のうち、肝炎ウイルスとは無関係の症例が徐々に増加している可能性があると報告した。

 福嶋氏らは、1995年から2006年までに経験した、診断時にB型およびC型慢性肝炎が否定された原発性肝癌141人(男性108人、女性33人、平均年齢67.5歳)を検討した。B型肝炎に関しては、ウイルス抗原が陰性であれば抗体またはDNAが陽性であっても、ウイルス活動が現在では活発ではないと判断し、B型慢性肝炎ではないとした。脂肪性肝炎など、ほかの肝疾患が存在したのは23人だった。

 B型肝炎由来でもC型肝炎由来でもないと判断された肝癌患者数は、1995〜2000年には毎年ほぼ1けたにとどまり、計57人だったのに対し、2001〜2006年、中でも2003年以降は毎年15人を超え、計84人に増加していた。

 患者の肝機能は、肝障害度を示すChild-Pugh分類で、最も軽度なAにとどまる患者が67%に上り、中等度のBが23%、重度のCが9%だった。その一方で、癌の進行度は、最も進行したステージIVが39%と最も多く、ステージIIIは26%、ステージIIは29%だった。

 行われた治療は、肝動注化学療法36%、全身化学療法4%と化学療法が最も多く、肝動脈塞栓化学療法16%、ラジオ波焼灼療法など局所療法16%、手術11%だった。福嶋氏は、「まだ総数は少ないが、肝癌全体に占める割合は増加傾向にある。現在は、かなり癌が進行してから発見されていることが多い」と指摘した。