B型肝炎ウイルス(HBV)に感染したことのある人は、ない人に比べて、膵臓癌を発症するリスクが2倍以上であることが、米Texas大学M.D.Anderson Cancer CenterのManal M.Hassan氏らの研究で明らかになった。B型肝炎ウイルスと膵臓癌の関連性が示されたのは初めて。これが確実であれば、膵臓癌に対する化学療法を行う前に、B型肝炎ウイルスの検査が必要になるだろう。詳細はJournal of Clinical Oncology 10月1日号に掲載された。

 研究グループは、膵臓癌患者476人(患者群)と、年齢および性別、人種が一致した健康な879人(対照群)において、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスの感染歴を、B型肝炎コア抗原に対する抗体やC型肝炎ウイルス抗体などを使って比較した。

 その結果、B型肝炎コア抗原に対する抗体が陽性だった人は、患者群の7.6%に見られ、対照群では3.2%と少なかった。一方、C型肝炎ウイルス抗体が陽性だった人は、患者群で1.5%、対照群で1.0%とほぼ変わらなかった。

 膵臓癌発症に関するオッズ比は、B型肝炎ウイルスの感染歴のない人に比べて、感染歴のある人では2.5(95%信頼区間1.5-4.2)となった。また、膵臓癌のリスク因子である糖尿病を罹患した人に限って見ると、感染歴がある人のオッズ比は7.1(同1.7-28.7)と高かった。

 B型肝炎ウイルスが膵臓癌を引き起こすメカニズムは不明だが、研究グループによれば、肝細胞癌の発症と同様に、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルス、糖尿病などのリスク因子による複合的な作用で、膵臓内に炎症やDNA障害が起こり、膵臓癌の発症につながる可能性があるという。

 臨床的には、化学療法を行う際に注意が必要だとする。B型肝炎を伴った悪性リンパ腫などの患者において、化学療法による免疫抑制で、肝炎が増悪することが報告されているためだ。研究グループは、HBV-DNA検査など、「B型肝炎ウイルスの感染歴がある患者に化学療法を行っている間は、綿密に監視すべきである」と述べている。