癌性貧血に対する、赤血球造血刺激剤(エリスロポエチン製剤)ダルベポエチンαの週1回投与は、ヘモグロビン値を改善し、輸血も減らすことが、白金系製剤による治療を受けた肺癌患者と卵巣癌患者を対象にした、国内の多施設フェーズ3臨床試験で明らかになった。9月12日から16日にスウェーデンのストックホルムで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、先端医療センター診療開発部総合腫瘍科の片上(かたかみ)信之氏らが発表した。

 試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照試験として、白金系製剤を含む化学療法を少なくとも2サイクル受けた肺癌あるいは卵巣癌で、貧血(ヘモグロビン値が11g/dL以下)の患者を対象に行われた。ダルベポエチンα(2.25mcg/kg)を週1回、皮下注射する群とプラセボを投与する群の2群に無作為に割り付け、化学療法は継続した。

 ダルベポエチンαによる治療を12週間続けた後、2週間の観察期間をおき、開始から14週間で試験を終了した。この間、フェリチンが10ng/ml未満あるいはトランスフェリンが15%未満の場合は、鉄が補充された。またヘモグロビン値が8g/dL以下の場合は赤血球輸血が推奨された。

 207人の患者が登録され、ダルベポエチンαを投与した群(103人)の患者の平均年齢は59.4歳、プラセボ群(104人)は59.7歳。肺癌はダルベポエチンα群で66人、プラセボ群で65人だった。

 主要評価項目は、治療5週目から治療の終了までに、ヘモグロビン値が8g/dL以下(輸血を行う閾値)となった患者の割合とした。その結果、輸血を行う閾値に達したのは、ダルベポエチンα群で有意に少なく28.5%で、プラセボ群では60.1%に上った(p<0.001)。

 副次評価項目とした、ヘモグロビン値の上昇(試験開始時に比べ2g/dL以上の上昇)は、ダルベポエチンα群で45.7%の患者に見られ、プラセボ群では17.3%だった(p<0.001)。逆に、赤血球輸血を実施したのは、ダルベポエチンα群で少なく7.2%であり、プラセボ群は19.2%となった(p=0.015)。

 安全性については、両群で有害事象の発生頻度に大きな違いは認められなかった。また生存率も2群間で有意な違いはなかった(ハザード比は0.819、95%信頼区間0.519-1.295、p=0.67)。

 エリスロポエチン製剤に関して、米食品医薬品局(FDA)は昨年、化学療法を受けていない癌患者で死亡率が増加し、輸血が低減しないことを警告している。しかし今回の試験では、白金系製剤による化学療法を受けた肺癌患者と卵巣癌患者では、ダルベポエチンαの投与は生存に影響を与えないことを指示する結果が得られた。