進行または再発乳癌で、ドセタキセルTS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)の併用は重篤な副作用もなく、一部の患者では抗腫瘍効果も見られたことが日本人のフェーズ1臨床試験で明らかになった。北海道大学病院第一外科の高橋將人氏らが、9月12日から16日にスウェーデンのストックホルムで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 TS-1は、胃癌に対して1999年に承認された後、頭頸部癌や結腸・直腸癌、非小細胞肺癌でも承認され、2005年11月には、「手術不能又は再発乳癌」の効能追加が行われた。アントラサイクリン系製剤またはタキサン系製剤の治療を受けた転移性乳癌において、単剤投与で奏効率が20%と報告されている。

 今回のフェーズ1臨床試験は、乳癌治療薬であるドセタキセルとTS-1の併用投与における推奨用量の決定と、安全性の評価を目的としている。進行または再発乳癌患者12人が登録され、年齢は37〜66歳、中央値は59歳だった。

 3週間おきに、ドセタキセルは1日目、TS-1は1〜14日目に投与し、病気の進行あるいは強い毒性が生じ治療が困難になるまで継続した。投与量は段階的に増量し、レベル1ではドセタキセルを1日あたり60mg/m2、TS-1は32.5mg/m2を1日2回、レベル2ではドセタキセル60mg/m2、TS-1は40mg/m2を1日2回、レベル3ではドセタキセル70mg/m2、TS-1は40mg/m2を1日2回とした。

 用量制限毒性(DLT)を、1サイクル中に発生した、4日以上持続したグレード4の好中球減少、グレード3以上の発熱性の好中球減少、グレード3の血小板減少、悪心や嘔吐、食欲不振、疲労感を除くグレード3以上の非血液毒性と定めた。

 この結果、レベル1の投与を受けた3人ではDLTは見られなかったが、レベル2では3人のうち1人で持続したグレード4の好中球減少が見られた。3人を新たに登録したところ、この3人ではDLTは認められなかった。レベル3の投与を受けた3人のうち2人でDLTが見られ、うち1人では持続したグレード4の好中球減少と発熱性好中球減少が、もう1人ではグレード4の好中球減少とグレード3の皮疹が見られた。このため、レベル3が最大耐用量 (MTD)、推奨用量はレベル2とされた。

 副作用としては、主に好中球減少、疲労感、皮疹が見られたが、重篤な副作用はなかった。

 これらの結果から、進行または再発乳癌を対象としたフェーズ2臨床試験では、3週間おきのドセタキセル60mg/2とTS-140mg/m21日2回の投与が検討されることになる。また、この試験では評価項目に治療効果が含まれていないが、「一部の患者で高い効果が認められた」という。