血漿中の肝細胞成長因子(HGF)濃度変化が、マルチキナーゼ阻害剤であるソラフェニブ肝細胞癌に対する効果の予測因子となる可能性が指摘された。ソラフェニブを肝細胞癌に投与した大規模フェーズ3試験SHARP試験のデータを解析した結果、明らかになったもの。この結果は9月12日から16日にスウェーデンストックホルムで開催された欧州臨床腫瘍学会で米Bayer HealthCare Pharmaceuticals社のCarol Pena氏によって発表された。

 SHARP試験はソラフェニブ400mgを1日2回投与する群とプラセボを投与する群に分けて行われ、ソラフェニブ群がプラセボ群に比べて、有意に全生存期間(OS)と治療成功期間(TTP)を改善させた。

 解析では、血漿中のHGFを酵素免疫法によって治療開始時とソラフェニブによる治療を12週受けた時点で評価した。HGFの測定ができた人数は投与開始前でSHARP試験全体のうちの81%にあたる488人、12週時点では50%にあたる302人だったが、測定群のOSの改善傾向は、SHARP試験全体のものと同様だった。

 高いHGF値が全生存期間に関する予測因子であることは、プラセボを用いた2つの解析で示された。HGF値のベースラインの75%(3279.1pg/mL)を基準にして、HGF高値群と低値群に分けたところ、高値群のOS中央値は160日だったのに対し、低値群は297日だった。HGF値の中央値(2413.1pg/mL)を基準にして、HGF高値群と低値群に分けたところ、高値群のOS中央値は191日だったのに対し、低値群は333日だった。

 一方、ソラフェニブで治療を受けた患者の74.3%がHGFが減少しており、プラセボ群の60.8%がHGFが減少していた。また全体としてはソラフェニブ投与群では7.4%HGF値が減少しており、プラセボ群では16.3%増加していた。

 HGF変化の中央値である-294.0pg/mLまで、HGFが減少しなかったソラフェニブ治療群患者のTTP中央値は177日で、-294.0pg/mL以上減少したソラフェニブ治療群患者(74人)ではTTP中央値は253日だった。ハザード比1.88(95%信頼区間1.06-3.35 p=0.029)とHGFが下がった群は有意に治療効果が高かった。