上皮細胞成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブの、進行非小細胞肺癌患者に対する奏効率・生存期間を統計学的に有意に改善するバイオマーカーは、EGFR変異が陽性であることが明らかとなった。また、K-RASに変異を持つ患者の全生存期間は、野生型の患者に比べて有意に悪くなることも分かった。エルロチニブのバイオマーカー探索を検討項目に含み、非小細胞肺癌を対象に単剤で大規模世界的に行われたTRUST試験の中間解析(TRUST-2)の結果、示されたもの。成果は9月12日から16日にスウェーデンのストックホルムで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)でオーストリアMedical University of ViennaのR Pirker氏が発表した。

 今回実施されたTRUST試験の中間解析は270人のデータを利用した。男性が63%、腺癌患者が54%、扁平上皮癌患者が28%、白色人種が81%、東洋人が18%含まれていた。バイオマーカー分析を行った232人で、完全奏効(CR)は1%未満、部分奏効は9%、安定状態(SD)が57%で、無増悪生存期間中央値は15.4週(95%信頼区間 12.0-17.3)だった。

 バイオマーカー解析の結果、EGFRが免疫組織学的に陽性だったのは、204人中142人、EGFR遺伝子がFISH法で陽性だったのは101人中58人、EGFR変異が陽性だったのは135人中12人、KRAS変異が陽性だったのは152人中32人だった。

 奏効率と統計学的に相関が見られた唯一のバイオマーカーはEGFR変異で、陽性群の奏効率は50%で、野生型の奏効率は4%だった。12人という少人数の結果でしかないが、EGFR変異陽性群では野生型群に比べて有意に無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が延長されていた。

 KRAS変異が陽性の患者は、野生型患者に比べて有意にOSが悪化していたが、PFSには相関関係は見出されなかった。KRAS変異陽性群の奏効率は14%、野生型群は11%だった。

 EGFR変異とKRAS変異の両方が判明している131人について解析したところ、EGFR野生型群ではKRAS変異におけるPFS、OSに差は見られなかった。一方、KRAS野生型の患者ではEGFR変異群の方が野生型よりもOS、PFSともに延長されていた。