前治療のある進行結腸直腸(大腸)癌において、K-RAS遺伝子の野生型では、セツキシマブの投与によって、生存期間は4.7カ月延長し、無増悪生存期間も改善したが、K-RAS変異型では有意な改善は見られなかったことが、フェーズ3臨床試験「NCIC CTG CO.17」の分析で確認された。オーストラリアFlinders Medical Centre のChristos Karapetis氏らが、9月12日から16日にスウェーデンのストックホルムで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 NCIC CTG CO.17試験は、カナダのNCIC CTG(National Cancer Institute of Canada Clinical Trials Group)とオーストラリアのAGITG(Australasian Gastro-Intestinal Trials Group)が共同で進めたフェーズ3臨床試験。化学療法で進行が見られたEGFR陽性の進行結腸直腸癌患者572人を対象に行われた。

 セツキシマブと支持療法を併用した群(以下セツキシマブ群)では、支持療法のみの群に比べ、生存期間および無増悪生存期間が有意に延長したことが昨年報告された。わが国で、セツキシマブ(商品名「アービタックス」)は今年7月に承認されているが、承認申請に提示された臨床試験の1つが、このNCIC CTG CO.17試験だ。

 今回の研究は、NCIC CTG CO.17試験の一環として検討されたもの。試験対象者の69%(394人)でK-RAS遺伝子の解析が行われ、このうち42%にあたる164人に変異が見られた。

 K-RAS変異のあった患者の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、セツキシマブ群、支持療法群ともに1.8カ月であり、生存期間(OS)はセツキシマブ群で4.5カ月、支持療法群で4.6カ月と有意な違いはなかった。

 一方、K-RAS野生型の230人では、PFS中央値はセツキシマブ群が3.8カ月、支持療法群が1.9カ月だった(ハザード比0.40、95%信頼区間0.30-0.54、p<0.0001)。またOSもセツキシマブ群で有意に長く、それぞれ9.5カ月、4.8カ月となった(ハザード比0.55、95%信頼区間0.41-0.74、p<0.0001)。また、支持療法におけるOSはK-RAS変異の有無に関係なく、ほぼ同程度だった。

 これらのことからChristos Karapetis氏は、前治療のある進行結腸直腸癌において、「セツキシマブの単剤療法は、K-RAS変異型では有用ではないが、野生型の場合は生存もPFSも改善した」とした。こうした結果は、セツキシマブの初回治療を検討した大規模フェーズ3臨床試験CRYSTALやOPUSなどで報告された結果と一致しており、セツキシマブの投与にあたり、K-RAS遺伝子の状態を確認して患者を選択することが必要になるだろう。