治療経験のあるErbB2陽性で転移性の乳癌において、ラパチニブトラスツズマブの併用はラパチニブ単独に比べて、無増悪生存期間は27%改善し、生存期間も改善傾向にあることが、多施設無作為化フェーズ3臨床試験(EGF104900)で明らかになった。米Duke University Medical CenterのK.L. Blackwell氏らが、9月12日から16日にスウェーデンのストックホルムで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のポスターセッションで発表した。

 試験は、ErbB2陽性の転移性乳癌で、アントラサイクリン系薬剤やタキサン系薬剤による治療の経験があり、トラスツズマブを含む前治療で進行した患者を対象とし、ラパチニブ(1500mg/日)の単独投与と、ラパチニブ(1000mg/日)とトラスツズマブ(週に2mg/kg)の併用投与の2群に割り付けた。

 患者の年齢は単独群(148人)が平均で51歳(29〜78歳)、併用群(148人)が52歳(26〜81歳)。前治療数は中央値でそれぞれ4回と5回で、6回以上の患者が28%、34%を占めた。治療4週間後、ラパチニブ単独投与で進行した73人は、併用投与に切り替えた。

 主要評価項目である無増悪期間(PFS)は、単独群で8.1週、併用群は12.0週で、ハザード比は0.73(95%信頼区間0.57-0.93)、p値は0.008と有意な違いを示した。奏効率(CR+PR)はそれぞれ6.9%と10.3%で有意差はなかったが、クリニカルベネフィット(CR+PR+SD)は12.4%と24.7%で、併用群のほうが有意に高かった(p=0.01)。

 生存期間の中央値は単独群が39.0週であるのに対し、併用群が51.6週だったが、ハザード比は0.75(同0.53-1.07)、p値は0.106と有意ではなかった。死亡はそれぞれ69人、56人だった。

 有害事象は、下痢が最も多く、単独群で48人、併用群は60人で、グレード3/4の下痢はいずれも7人だった。このほか、発疹、悪心、疲労感、嘔吐、呼吸困難、食欲不振、頭痛、咳などが見られた。心イベントは単独群が5人、併用群が8人と、併用群で多かった。

 これらの結果から、研究グループは「ラパチニブとトラスツズマブの併用は、細胞毒性のある化学療法やトラスツズマブによる治療で進行した転移性乳癌に対して、効果がある」と結論付け、「このEGF104900試験は、2つの薬剤によるErbB2受容体の完全な阻害が、患者の予後を改善することを示した最初のフェーズ3臨床試験である」とした。