半減期の長い制吐剤パロノセトロンは、癌化学療法による遅延性の悪心や嘔吐にも予防効果のあることが、国内の多施設共同二重盲検無作為化フェーズ3試験で確認された。新潟大学大学院医歯学総合研究科生命科学医療センターの吉澤弘久氏らが、9月12日から16日にスウェーデンのストックホルムで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 パロノセトロンは選択的セロトニン(5-HT3)受容体拮抗剤で、化学療法に伴う悪心や嘔吐を防ぎ、化学療法の継続を可能にする作用が報告されている。欧米では0.25mg注射剤が認可されていたが、今年8月、米国で経口剤「ALOXIRカプセル0.5mg」が承認された。国内では大鵬薬品工業が制吐剤として申請中。

 フェーズ3臨床試験では、シスプラチン(50mg/m2以上)、あるいはアントラサイクリン系薬剤+シクロフォスファミド(AC/EC)を投与する患者に、化学療法開始の30分前に、パロノセトロン0.75mg静注、あるいは同じく5-HT3受容体拮抗剤であるグラニセトロン40μg/kgを静注投与した。パロノセトロンの半減期は40時間、グラニセトロンの半減期は9時間といわれている。

 また、悪心や嘔吐の改善が報告されているステロイド系抗炎症薬デキサメタゾンを1日目には16mg投与し、2日目、3日目にはAC/EC投与の場合は4mg、シスプラチン投与では8mgとした。

 症状の改善を、化学療法後24時間までの急性期、24〜120時間までの遅延期、化学療法後から120時間までの全期における、完全制御率として評価した。最終的に解析が可能だったのは、パロノセトロン群は555人、グラニセトロン群は559人だった。

 この結果、急性期における完全制御率は、パロノセトロン群は77.5%、グラニセトロン群は75.2%と有意な違いは認められなかったが、遅延期ではそれぞれ56.8%、44.5%(p<0.0001)、全期では51.5%、40.4%(p=0.0001)だった。

 化学療法の薬剤によるサブグループ解析では、シスプラチンの急性期の完全制御率は、パロノセトロン群は80.1%、グラニセトロン群は79.6%、AC/ECの場合もそれぞれ69.0%、64.8%と、有意な違いは見られなかった。一方、遅延期では、シスプラチンでそれぞれ53.5%、40.6%(p=0.001)、AC/ECでは61.1%、50.0%(p=0.015)だった。

 性別および年齢(55歳以上と55歳未満)によるサブグループ解析でも、完全制御率には同様の傾向が認められた。有害事象は両群間でほぼ同程度だった。

 これらの結果から、パロノセトロンとグラニセトロンを比較し、性別や年齢、化学療法に関係なく、急性期の悪心・嘔吐に対しては薬剤間に有意な差は見られないが、遅延期ではパロノセトロンのほうが完全制御率は高いとし、「癌化学療法による悪心や嘔吐の予防には、パロノセトロンとデキサメタゾンを標準治療にすべきである」と研究グループは結論づけた。