トラスツズマブ治療で進行したHER2陽性の転移性乳癌において、トラスツズマブを継続したままカペシタビンを追加するほうが、カペシタビン単独よりも、有効性は高いことが、ドイツのフェーズ3臨床試験「GBG26(TBP)」で明らかになった。ドイツUniversity Hospital FrankfurtのGunter von Minckwitz氏らが、9月12日から16日にスウェーデンのストックホルムで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 試験は、HER2陽性の局所進行あるいは転移性の乳癌で、トラスツズマブ治療で進行した患者を対象に、カペシタビン(2500mg/m2)を22日おきに 1〜14日目に投与する群(カペシタビン単独群)と、カペシタビンを同様に投与し、トラスツズマブ(6mg/kg)を22日おきに投与する群(併用群)に無作為に割り付けた。患者の左室駆出率(LVEF)は50%以上と正常だった。

 156人が登録されたが、2007年に米食品医薬品局(FDA)が転移性乳癌を適応にラパチニブを承認した後は登録を中止した。

 初回治療にタキサン系製剤とトラスツズマブの投与を受けていた患者は111人、初回治療にトラスツズマブ単独かタキサン系製剤以外の化学療法薬を併用したのは42人、術後補助療法としてタキサン系製剤とトラスツズマブの投与を受けたのが3人だった。

 奏効率(CR+PR)はカペシタビン単独群が27.0%、併用群が48.0%で、有意に異なり(p=0.0115)、クリニカルベネフィット(CR+PR+NC)はそれぞれ54.1%、75.3%だった(p=0.0068)。

 追跡期間の中央値は15.6カ月、主要評価項目である治療成功期間(TTP)はカペシタビン単独群が5.6カ月、併用群が8.2カ月で、ハザード比は0.69(p=0.034)だった。生存期間の中央値はそれぞれ20.4カ月、25.5カ月だったが、ハザード比は0.76(p=0.26)で有意差は見られなかった。

 心毒性に関しては、LVEFが40%未満となった患者が併用群で1人見られた。また高血圧、心筋梗塞の疑い、LVEF低下、心膜液貯留などのグレード3の心イベントが、カペシタビン単独群では2人(2.7%)、併用群では4人(5.2%)に認められた。治療関連死はなかった。

 von Minckwitz氏は、「進行後のトラスツズマブの継続はカペシタビン単独による有効性を上回る」とし、「毒性に関してもほぼ同程度だった」と述べた。

 ディスカサントとして登壇したベルギーJules Bordet InstituteのF. Cardoso氏は、「Hermine studyなどのレトロスペクティブ研究による結果を無作為化試験で証明した」と評価。ただし、現在はラパチニブなどの抗HER2薬剤もあり、トラスツズマブの継続か、別の薬剤への切り替えかなど、すでに進んでいる臨床試験も含めて、今後さらに検討されるだろうとの見解を示した。