アジアで行われた治療歴のない進行非小細胞肺癌(NSCLC)の治療(ファーストライン治療)で患者を選別して、ゲフィチニブ(商品名「イレッサ」)を単独投与する初めてのフェーズ3試験IPASS(IRESSA Pan-Asian Study)の詳細な結果が明らかとなった。無増悪生存でカルボプラチン/パクリタキセル投与群をゲフィチニブ投与群が有意に上回った。成果は、9月12日から16日にスウェーデンストックホルムで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で中国のT.Mok氏によって発表された。

 IPASS試験には2006年5月から2007年10月までに、化学療法の治療歴のない非喫煙か軽度の喫煙の経験者(少なくとも15年前に禁煙)で、腺癌、ステージ3B/4期のアジア人非小細胞肺癌患者1217人が登録された。ゲフィチニブを毎日250mg投与する群(609人)とカルボプラチン(AUC5または6)/パクリタキセル(200mg/m2)を併用投与する群(608人)に無作為に分けられた。

 試験の結果、ゲフィチニブ投与群がカルボプラチン/パクリタキセル投与群に比べて、無増悪生存で優れることが明らかとなった。ハザード比は0.741(95%信頼区間0.651-0.845、P<0.0001)だった。無増悪生存は最初の6カ月はカルボプラチン/パクリタキセル投与群が上回っていたが、次の16カ月はゲフィチニブ群が上回った。上皮成長因子受容体(EGFR)に変異のある患者でゲフィチニブが効果を発揮したためと考えられる。

 奏効率はゲフィチニブ群が43.0%、カルボプラチン/パクリタキセル群が32.2%で有意にゲフィチニブ群が優れていた(オッズ比1.59、95%信頼区間1.25-2.01、P=0.0001)。QOL(生活の質)改善効果、症状改善効果もゲフィチニブ群が優れていた。

 EGFR変異の有無でサブ解析を行ったところ、変異陽性群はハザード比0.48(95%信頼区間0.36-0.64、p<0.0001)でゲフィチニブ群が有意に無増悪生存期間を延長していたが、EGFR変異陰性群はハザード比2.85(95%信頼区間2.05-3.98、p<0.0001)で有意にゲフィチニブ群が悪かった。奏効率はEGFR変異陽性群はゲフィチニブ群で71.2%、カルボプラチン/パクリタキセル群が47.3%だった。EGFR変異陰性群ではゲフィチニブ群で1.1%、カルボプラチン/パクリタキセル群が23.5%だった。

 Mok氏は、アジアでは欧米と異なり非喫煙者の腺癌患者が約2倍と多いことから、アジアにおける肺癌のファーストライン治療を変える可能性のある結果だと指摘した。