癌による消化管閉塞に伴う消化器症状に酢酸オクトレオチドを投与すると、患者の主観的および客観的評価のいずれも有意に改善することが、国内の多施設共同研究で確認された。患者による主観的な評価および長期投与による効果が明らかになったのは初めて。筑波メディカルセンター病院緩和医療科の久永貴之氏らが、9月12日から16日にスウェーデンのストックホルムで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 酢酸オクトレオチド(商品名「サンドスタチン」)は、癌の進行や治療による消化管閉塞で生じた悪心や嘔吐、腹部膨満感などの症状を改善する薬剤。現在、「進行・再発癌の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状の改善」を適応としている。

 対象は46人で、うち胃癌が17人、結腸直腸癌が13人、卵巣癌が7人、子宮癌が4人、胆嚢・胆管癌が3人、膵癌が2人、その他が3人だった。3人の患者は複数の癌を罹患していた。年齢の中央値は62歳(38〜87歳)、男性が26人。閉塞の部位は胃および十二指腸が5人、小腸が28人、大腸が10人などだった。

 サンドスタチン300μg/日を3日間、持続皮下投与あるいは静注し、それ以降は担当医の判断で用量を300から600μg/日の範囲で調節した。

 癌症状の標準的な評価尺度であるM.D.Anderson Symptom Inventory(MDASI)およびフェイススケールを主観的指標として用い、症状の変化を1から4日目に評価した。胃管あるいはイレウス管を挿入した患者では7日目まで評価した。また、投与継続が可能であった患者においては8日目、15日目も同様に評価を行なった。

 この結果、MDASIによる評価では、開始時に比べて4日目には、腹部の痛みは24人(59%)で改善し、腹部の膨張感は26人(62%)、悪心が31人(72%)、食欲不振が26人(60%)、口渇が30人(70%)、嘔吐が26人(60%)、疲労感が28人(65%)で改善していた。MDASIスコアの平均はいずれも有意に改善していることを示した(p<0.01)。

 フェイススケールによる包括的評価では、改善が24人(55.8%)、不変が17人(39.5%)、悪化が2人(4.7%)だった。さらに、投与が継続できた23人では、開始時に比べて15日目でも症状は改善傾向にあり、「少なくとも投与後1週間は明らかな症状の改善が継続する」としている。

 客観的指標である嘔吐回数は、開始時に比べて4日目には56%の患者で減少し、回数の平均も有意に減少した(p<0.001)。

 グレード3以上の有害事象としては、1人で悪心の悪化が見られた。生存期間の中央値は25日で、30日死亡率は61%だった。

 久永氏は「国内における保険適用は、客観的評価に基づくものだった。今回の試験は、患者による主観的な評価であり、長期投与の結果からは、サバイバルの状態が悪い患者であっても、効果の持続が見られた」とコメントした。