マルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブは、PSや肉眼的血管浸潤(MVI)、肝外転移(EHS)の有無にかかわらず、進行性肝細胞癌の生存期間を延長することが示された。SHARP試験グループが、9月5日から開催されたInternational Liver Cancer association(ILCA)2008で発表された。

 この結果は、進行性肝細胞癌を対象としたSHARP試験のサブ解析から得られたものだ。SHARP試験は、進行性肝細胞癌で、PSが0〜2、Child-Pugh分類Aの患者を対象に、ソラフェニブ投与群とプラセボ群を比較しているものだが、PS、MVI、EHSの予後に対する影響を評価するために、サブ解析を行った。

 試験の対象となった患者を分類すると、MVIあるいはEHSがあった患者(いずれも有する患者を含む)は421人(ソラフェニブ群209人、プラセボ群212人)、いずれもなかった患者は181人(ソラフェニブ群90人、プラセボ群91人)。PSが0だった患者は325人(ソラフェニブ群161人、プラセボ群164人)、PSが1〜2だった患者は277人(ソラフェニブ群138人、プラセボ群139人)だった。

 RECIST基準による判定の結果、MVIあるいはEHSがある患者では、ソラフェニブ群とプラセボ群のORR(CR+PR)は2.4%:0.9%、SDは65.5%:62.7%、PDは21.5%:27.4%、DCRは41.2%:27.8%だった。MVI、EHSのいずれもない患者では、ソラフェニブ群とプラセボ群のORRは2.2%:0%、SDは82.2%:78.0%、PDは10.0%:16.5%、DCRは48.9%:40.7%だった。

 全生存期間中央値(OS)は、MVIかEHSがあった患者を対象とした場合、プラセボ群6.7カ月に対し、ソラフェニブ群は8.9カ月(HR=0.77 95%CI[0.60-0.99])だった。一方、MVIかEHSのいずれもない患者を対象とした場合では、プラセボ群10.2カ月に対し、ソラフェニブ群14.5カ月(HR=0.52 95%CI[0.32-0.85])という結果だった。

 進行までの期間中央値(TTP)は、MVIかEHSがあった患者を対象とした場合、プラセボ群2.7カ月に対し、ソラフェニブ群4.1カ月(HR=0.64 95%CI[0.48-0.84])だった。一方、MVIかEHSのいずれもない患者を対象とした場合では、プラセボ群4.3カ月に対し、ソラフェニブ群9.6カ月(HR=0.40 95%CI[0.23-0.70])だった。

 PSが0だった患者を対象とした場合、OSはプラセボ群8.8カ月に対し、ソラフェニブ群13.3カ月(HR=0.68 95%CI[0.50-0.95])。TTPはプラセボ群2.9カ月に対し、ソラフェニブ群5.5カ月(HR=0.55 95%CI[0.40-0.77])。PSが1〜2だった患者を対象とした場合、OSはプラセボ群5.6カ月に対し、ソラフェニブ群8.9カ月(HR=0.71 95%CI[0.52-0.96])。TTPはプラセボ群2.8カ月に対し、ソラフェニブ群5.3カ月(HR=0.61 95%CI[0.42-0.88])だった。

 有害事象については、MVIやEHSの有無、いずれのPSの患者においても違いはなかった。グレード3/4の有害事象は、MVIかEHSがある患者とない患者のそれぞれで、下痢(5.3%:15.7%)、手足皮膚反応(6.7%:10.1%)、倦怠感(4.8%:1.1%)だった。

進行度などが異なるアジア人でも有効性を確認

 ILCA2008では、中国、台湾、韓国の進行性肝細胞癌を対象とした臨床試験結果も発表された。HBVやHCVの感染状態やPS、腫瘍の個数など、SHARP試験とは背景が異なった患者を対象とした試験だったが、プラセボ群に対するOSとTTPの有意な延長が示された。

 対象は、PS 0-2で、Child-Pugh Aの進行性肝細胞癌で、これまでに全身療法を行ったことのない患者226人と、SHARP試験とは規模は違うもののほぼ同じだ。一方、患者背景のうち、HBVとHCVの感染状態については、SHARP試験がHBV/HCVそれぞれ18%、28%だったのに対し、アジアの試験ではそれぞれ73%、8%と、HBV感染の違いが大きい。PSも、SHARP試験が0/1/2がそれぞれ54%/38%/8%であったのに対し、アジアの試験では26%/69%/5%だった。腫瘍の個数は、SHARP試験では1個、2個、3個、4個以上がそれぞれ44%/31%/12%/13%であったのに対し、アジアの試験では11%/35%/20%/35%だった。

 OS中央値はプラセボ群4.2カ月に対し、ソラフェニブ群は6.5カ月。TTPの中央値はプラセボ群1.4カ月に対してソラフェニブ群2.8カ月だった。

 ハザード比を、アジア試験とSHARP試験で比較した結果、OSではアジア試験0.68(0.50-0.93、p=0.014)に対してSHARP試験0.69(0.55-0.87、p<0.001)、TTPではアジア試験0.57(0.42-0.79、p<0.001)に対してSHARP試験0.58(0.45-0.74、p<0.001)、PFSはアジア試験0.62(0.46-0.82、p<0.001)に対してSHARP試験0.65(0.52-0.79、p<0.001)だった。

 発表した中国Sun Yat-sen University Cancer CenterのZhongzhen Guan氏は「SHARP試験に比べてより進行している患者を対象としているが、OS、TTP、PFSのハザード比はSHARP試験と同じ結果が得られた」と語っている。