経口5FU系抗癌剤であるカペシタビンの日本における標準用量は、欧米に比べて低く設定されている。しかし、転移性乳癌患者のファーストラインとして単剤でわが国で投与されている標準的な用量でも、欧米で投与されている用量と効果に遜色のないことがKinki Breast Cancer Study Group(KBCSG)の臨床研究によって明らかとなった。既に報告されている欧米での臨床研究結果と比べて、奏効率はやや低いものの無増悪生存期間中央値、全生存期間中央値は劣らない成績を示した。

 成果は9月5日から7日に米国ワシントンDCで開催されたBreast Cancer Symposium(ASCO Breast)でKBCSGを代表して、大阪大学大学院医学系研究科乳腺・内分泌外科講師の田口哲也氏によって発表された。

 研究グループは、全身状態が比較的良い未治療で生存期間6カ月以上が期待される33人の転移性乳癌患者を対象に、カペシタビン825mg/m2を1日2回3週間投与し1週間休薬する4週間1サイクル法で治療を行った。患者の年齢中央値は53歳(27-73)ですべてHER2陰性だった。欧米では1000mg/m2を1日2回21日間投与して1週間休薬する方法でカペシタビンの有効性がフェーズ3試験で確認されている。

 KBCSGの試験では、部分奏効(PR)が18.2%で、奏効率は18.2%だった。安定状態(SD)が45.5%で6カ月を超えるSDを維持できたのは24.2%だった。長期間のSDを加えた臨床利益率は42.4%、SDを含めた臨床制御率は63.6%だった。欧米で報告されている奏効率は20%強から40%弱だ。

 全生存期間(OS)中央値は24.8カ月(95%信頼区間:18.1-NA)で、無増悪生存期間(PFS)中央値は6.9カ月(95%信頼区間:2.6-9.7)だった。欧米で報告されているPFS中央値は約4カ月から6カ月、OS中央値は10カ月から22カ月であるため、生存期間については劣らない成績を示した。

 一方、副作用は手足症候群のグレード3が5人に認められ、好中球減少症のグレード3が2人に認められたが、その他にはグレード3以上のものは見られず、忍容性は高かった。

 KBCSGは悪性度がより高い転移性乳癌を対象に、パクリタキセルの毎週投与と低用量カペシタビンを併用する臨床試験も進めている。