再発までの期間が長く、年齢が高いHER2陽性転移性乳癌の日本人患者の場合、ファーストライン治療として、トラスツズマブの単独投与で十分である可能性が指摘された。単独投与した場合とトラスツズマブと化学療法を併用した場合をレトロスペクティブ解析した結果明らかにされたもの。また、単独投与後に増悪し、化学療法とトラスツズマブを併用すると高い奏効率が得られることが分かった。成果は9月5日から7日に米国ワシントンDCで開催されたBreast Cancer Symposium(ASCO Breast)で大阪医療センターの増田慎三氏によって発表された。

 トラスツズマブ単剤とトラスツズマブと化学療法を併用した場合、無増悪生存期間、全生存期間を延長できることが、HERTAX試験で示されている。今回発表された結果は、患者背景が単独投与群と併用投与群で異なっていることから、患者を選択して治療法を選ぶことの重要性を示している。

 患者には1回目には4mg/kgのトラスツズマブを投与し、その後毎週2mg/kg投与した。化学療法併用群にははパクリタキセル80mg/m2を3週投与して1週休むレジメンの患者、ドセタキセルを3週おきに60mg/m2投与するレジメンの患者、ビノレルビン25mg/m2を2週投与して1週休むレジメンの患者が含まれていた。患者背景では年齢中央値は、トラスツズマブ単独群(39人)が57歳(30-74)、併用投与群(16人)が45歳(37-69)だった。無疾患期間はトラスツズマブ単独群が705日、併用投与群が353日だった。

 奏効率は単独投与群が完全奏効(CR)2人、部分奏効(PR)8人で26%だったのに対して、併用投与群はPRが11人で69%だった。しかし無増悪生存期間(PFS)中央値は単独投与群が262日、併用投与群は214日と同等だった。全生存期間もほぼ同等だった。

 一方、単独投与群で、増悪に転じた患者にトラスツズマブに加えて、パクリタキセル、ドセタキセルなどの化学療法剤を併用投与したところ、CRが2人、PRが16人で奏効率は70%だった。