乳癌脳転移に対する放射線治療の診療ガイドラインの改訂内容が明らかになった。これは、京都大学放射線腫瘍学・画像応用治療学の光森通英氏が明らかにしたもの。新規ガイドライン(乳癌診療ガイドライン2008年版 放射線)では、4個以上の多発性脳転移の初回治療として、全脳照射が推奨され(推奨グレードB)、1〜3個までの脳転移の初回治療としては、定位放射線照射(ガンマナイフやXナイフ)もしくは全脳照射との併用が勧められる(推奨グレードB)という。

 光森氏は、昨年の乳癌学会において、国内における乳癌脳転移への放射線治療の現状を調査している。その調査では、乳癌脳転移の初回治療として定位放射線治療単独を受けた場合、脳内の再発が5割以上で生じていることを明らかにしていた。

 光森氏は、「非常に少数の脳内転移に対して、定位放射線治療を行うことは問題ないと思う。ただし、多数の脳転移がある場合に定位放射線治療を行っても、時間とともに新たな転移が出てくると考えるのが普通だろう。例えて言えば、多発脳転移は、畑に雑草の種(癌細胞)がまかれた状態であり、出てきた芽(画像で確認される転移巣)を1つずつ摘む(定位放射線治療)前に、一度、除草剤をまく(全脳照射)べき」と語る。

 また、全脳照射に比べて定位放射線照射の方が安全との一般の認識に対して、「定位放射線治療は、ピンポイントだから害がないと考えられているが、それは誤解。ガンマナイフでも、標的部位の周囲3cm以内に、標的部位に照射した線量の3割程度はかかっている。そのため、複数回照射を繰り返すことで、繰り返し照射を受ける部分も生じ、脳壊死などにつながることもある」と定位放射線照射の安全神話に警鐘を鳴らす。

 新規ガイドラインの詳細は、9月26日、27日に開催される日本乳癌学会で、聖路加国際病院の関口建次氏が発表する予定だ。詳細は続報する。