子宮頸癌を予防するHPVワクチン接種は、医療経済的に見ても有益な可能性が示された。これは、自治医科大学附属さいたま医療センターの今野良氏、東京大学医学系研究科の福田敬氏らの研究成果。7月29日に都内で開催されたグラクソ・スミスクラインのメディアセミナーで福田氏により発表された。

 この研究は、子宮頸癌の原因となるHPVのうち、16型と18型を予防するHPVワクチンを、12歳女児、もしくは10〜45歳の女性に接種した場合の医療経済的な影響を分析したもの。子宮頸癌の原因として16型と18型が71%寄与し、定期的な検診受診率は14%、不定期な検診受診率は40%との仮定の下でシミュレーションされた。

 その結果、ワクチン接種を行わない場合には約5000人が将来子宮頸癌を発症するが、国内の12歳女児全員にワクチン接種を実施すると想定した場合、その発症を約4000人減らせる可能性が示された。

 加えて、日本の12歳女児全員にワクチン接種を行った場合、1人につき3万6000円のワクチン費用とワクチン接種時に必要になる医療費のコストと、ワクチン接種により減少できる疾病治療費や労働損失を比較したところ、ワクチン接種により、日本全体の社会的損失を約190億円抑制できるという結果を得たという。

 一方、10〜45歳の女性全員に接種した場合には、同様の計算により、430億円の社会的損失を抑制できるという結果となった。

 ただし、子宮頸癌の専門家の中には、「ワクチン接種により16型・18型のHPV感染は減少しても、子宮頸癌の原因となるその他の種類のHPVが蔓延し、結局、子宮頸癌の発症数を減らすことができない危険性もあり得る」と指摘する声もある。そのため、今回の結果は、いくつかの条件設定をしたシミュレーションの結果である点をふまえて参考にする必要がありそうだ。