中国の国家食品医薬監督管理局(SFDA)は、ソラフェニブ(商品名「ネクサバール」)錠を、切除不能または転移性の肝細胞癌(HCC)および肝癌の治療薬として承認した。ソラフェニブは同疾患の患者の全生存期間を有意に延長する世界初で今のところ唯一の経口分子標的薬である。中国の承認は2つの国際フェーズ3二重盲検プラセボ対照試験の結果に基づくもので、ソラフェニブを共同開発したドイツBayer HealthCare Pharmaceuticals社と米国Onyx Pharmaceuticals社が28日に発表した。

 この試験の対象は、HCCまたは肝癌で全身療法の治療歴がない800人。Bayer HealthCare社の経営執行委員会の1人、Gunnar Riemann氏は、「中国は世界で最も肝癌患者数が多く、毎年34万人が新たに肝癌の診断を受けており、発症率は上昇し続けている。ソラフェニブが肝癌の最先端治療に使用されることは私たちの誇りであり、中国の肝癌患者がソラフェニブで生存期間を延長できることを期待する」と話している。

 世界中で毎年60万人以上が肝癌と診断され、中国・韓国・日本・台湾はそのうちの40万人以上を占める。2002年の肝癌による死亡者数60万人中、中国・韓国・日本の死亡者数は約37万人。アジア太平洋地域では、一般人口の8%以上が慢性B型肝炎に、2〜4%が慢性C型肝炎に感染している。いずれの感染も原発性肝癌の主な原因となる。

 「生存期間を改善する治療が早急に必要とされている地域での今回の承認は、画期的な出来事」とOnyx Pharmaceuticals社の最高経営責任者、N. Anthony Coles氏は評し、「ソラフェニブが腎癌に承認されてから2年も経たないうちに、中国では肝癌に対して同薬が承認された。これはソラフェニブが多数の患者集団において重要な基礎治療であり、今後もそうであり続けることを証明している」と述べた。

 安全性について米国の添付文書には、切除不能なHCC患者にソラフェニブを投与する場合、高血圧が発生する可能性があるため血圧のモニタリングを行うよう記載されている。また、出血による致命的な転帰の発生率はプラセボ投与群、緊急治療を要する心筋虚血・心筋梗塞の発生率は、ソラフェニブ投与群の方が高かったと報告されている。最も多く報告された有害事象は下痢、疲労感、腹痛、体重減少、食欲不振、悪心、手足症候群で、グレード3または4の有害事象はソラフェニブ投与群で45%、プラセボ投与群で32%に発生した。

 妊娠可能な女性患者では妊娠を避け、授乳もしないよう勧められる。重度または持続性の副作用を認めた場合、一時的な治療の中止、投与量の修正、治療中止を考慮する必要がある。