米Cell Genesys社は、前立腺癌用「GVAX」ワクチンに関する2件めのフェーズ2試験(G-0010)結果が、米癌学会誌Cancer誌電子版に7月21日に報告されたと発表した。高用量群の生存期間の中央値は35.0カ月になったという。

 前立腺癌用「GVAX」は、免疫系に広範な腫瘍抗原を提示できるよう設計された全細胞ワクチンで、前立腺癌細胞株2系統に顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の遺伝子を導入、放射線照射したものから成る。個々の患者に特異的なワクチンではない。同社は、このワクチンをバイオリアクターで製造している。

 オープンラベルの多施設試験G-0010は、転移性ホルモン療法抵抗性前立腺癌の患者80人(年齢の中央値は69歳)に、3通りの用量の「GVAX」を投与し、安全性、免疫原性、全生存期間などを評価する方法で行われた。

 全体として忍容性は高く、この試験では最大耐用量を見いだせなかった。最も多く見られた有害事象は、注射部位の浮腫だった。

 生存期間の中央値は、高用量群35.0カ月、中用量群は20.0カ月、低用量群では23.1カ月となった。15人(19%)の患者でPSA値が安定化、当初の1/2未満にPSA値が低下した患者も1人いた。

 ワクチンの成分となっている細胞株のいずれか一方または両方に対する抗体産生が見られた患者の割合は、用量が多いグループほど多かった。低用量群では23人中10人(43%)、中用量群では18人中13人(72%)、高用量群では18人中16人(89%)であった。コクラン・アーミテージテストによる単調増加の検定ではP=0.002で、抗体産生の割合は用量依存傾向を示した。

 同様の患者を対象に行われた1件目のフェーズII試験でも、全生存期間の中央値は34.9カ月で、ほぼ同じ結果が得られている。

 現在この種の患者に標準治療として用いられている「タキソテール」(ドセタキセル)とプレドニゾンを併用した場合の生存期間の中央値は18.9カ月と報告されており、「GVAX」への期待が高まった。

 「GVAX」については既に、VITAL-1、VITAL-2という2件のフェーズ3試験が進行中だが、いずれもフェーズ2の高用量群に該当する用量を用いている。

 多施設無作為化試験のVITAL-1は、痛みのない転移性ホルモン抵抗性前立腺癌患者に対する「GVAX」の効果を「タキソテール」(ドセタキセル)+プレドニゾンと比較するもので、主要エンドポイントは生存期間に設定されている。

 VITAL-2は、痛みがある転移性ホルモン抵抗性前立腺癌患者を対象に、「GVAX」+「タキソテール」併用の安全性と有効性を「タキソテール」+プレドニゾン併用と比較する試験で、主要エンドポイントはこちらも生存期間だ。

 「VITAL-1」については既に患者登録が完了、最終的な結果分析が可能になるレベルにイベント発生件数が達する時期は2009年後半と予想されている。「VITAL-2」の患者登録は2009年前半に完了する予定だ。

 2008年3月31日、武田薬品工業がCell Genesys社と契約を結び、前立腺癌用「GVAX」ワクチンの世界的独占的開発販売権を取得したため、フェーズ3は2社が共同で進めている。

 「GVAX」については、早期の前立腺癌患者を対象とするフェーズ1/2試験でも、PSAの経時的変化率やPSA倍化時間などおいて好結果が見られている。

 Cell Genesys社は、米Medarex社と米Bristol-Myers Squibb社が共同開発中のCTLA-4受容体を標的とする完全ヒト抗体製剤「MDX-010」(イピリムマブ)と「GVAX」を前立腺癌患者に適用する臨床試験も行っている。