食道癌によって食道亜全摘、3領域郭清を施行した患者では、嚥下困難から、誤嚥性肺炎などの呼吸器合併症を来す可能性が高い。そこで東京都立駒込病院外科の錦織達人氏が、術後管理の際に嚥下機能評価を行い、それにより特別な嚥下訓練食を提供したところ、誤嚥性肺炎の減少や在院期間の短縮が得られた。結果は第63回日本消化器外科学会総会で報告した。

 対象は、食道亜全摘、3領域郭清を施行した54人の食道癌患者で、嚥下訓練食の導入前後での合併症発生頻度などを調べた。導入前が24人、導入後が30人だった。嚥下訓練食を導入する以前から、手術翌日には喉頭反射や声帯運動観察を行い、1週間後に嚥下補助食品ゼリーを用いた嚥下造影検査を行っていた。ミキサーとろみ加工した特別な嚥下訓練食の導入後は、造影検査で残留物の有無による吻合部狭窄などをチェックし、嚥下機能の低下している患者には、嚥下訓練食を摂ってもらった。

 導入前と導入後で、誤嚥性肺炎の頻度は21%から10%へ、平均在院日数は20日から15日へと減少した。錦織氏は、「嚥下機能評価の際、吻合部狭窄があるとみられる患者には、内視鏡による吻合部拡張を行った。導入後にみられた誤嚥性肺炎は、ほぼ1カ月足らずで退院できており、重症のものはなかった」と振り返った。