全国7施設における卵巣癌の化学療法の実態調査により、進行性卵巣癌の初回(ファーストライン)に用いる化学療法の標準化が遅れていることが確認された。これは、京都大学医学系研究科医療経済学分野の白井貴子氏らの調査による結果。7月17日から19日に開催された日本婦人科腫瘍学会学術集会で発表された。

 白井氏らは、全国の臨床研修指定病院でDPCを導入している7施設で治療を受けた209人の患者を対象に、ファーストラインの化学療法としてどのような療法が用いられているかを調査した。また、卵巣癌の診療ガイドライン(卵巣癌治療ガイドライン2004年発行)の策定前後で、診療内容に変化があるかどうかを調べるため、2004年までと2005年以降の治療群間で比較した。

 その結果、施設間で標準的なファーストラインであるTC療法(パクリタキセルとカルボプラチンの併用療法)を受ける患者の割合に大きな差があることが明らかになった。TC療法の実施率は最も低かった施設で32%、最も高かった施設で94%であった。

 また、各施設で行われている治療法の選択に、ガイドラインの発行前後で明らかな変化はなかったという。

 分割投与であるWeekly投与の実施率にも、施設間で大きな差があった(0〜100%)。また、65歳未満の若年患者群と65歳以上の高齢患者群で、Weekly投与の実施率に有意差があった。若年患者群ではWeekly投与の実施率は全国で32%、高齢患者群では57%であったという。

 白井氏は、「他の疾患領域では、ガイドラインの発行後、3年程度で治療法の標準化が進むという報告もある。そのため、今後、卵巣癌の抗癌剤治療においても標準化が進むと期待したい」と語っていた。