切除不能な大腸癌肝転移に対し、FOLFOX療法(5-FU+ホリナートカルシウム+オキサリプラチン)が広く行われているが、オキサリプラチンはうっ血を特徴とする肝障害、いわゆるBlue liver症候群を引き起こすことがある。しかし、化学療法に伴う肝障害は血液生化学データに表れにくい。このため、肝障害の機序が肝組織の線維化にあることを利用し、肝硬度の測定が障害予測に有用な可能性があると、第63回日本消化器外科学会総会で九州大学消化器・総合外科学の沖英次氏が報告した。

 沖氏が使用したのは、肋間から肝臓に対し振動波を送り、その伝播速度を超音波によって追跡するFibroscanという機器。線維化が進んでいると速く、進んでいないと遅く伝播される。FOLFOX療法を初めて行う患者5人に対し、化学療法の前後での肝硬度を測定し、肝障害の程度を予測できるかどうかを調べた。

 投与前の肝硬度と比べ、投与48時間後の肝硬度はいずれも有意に上昇していた(p=0.043)。1人の患者について経過を追ったところ、血中トランスアミナーゼ値は4コース目にようやく有意な上昇を認めたが、肝硬度は化学療法1コース目から著しく上昇し、2コース目以降も上昇傾向が続いた。その後の手術所見では、オキサリプラチンによる肝障害が確認できた。

 沖氏は、「まだ症例数が少ないので、検討段階ではあるが、肝硬度を測定して早めにFOLFOX療法からFOLFIRI療法に切り替えるといった治療方針の決定に寄与する可能性もある」と期待を込めた。