乳癌の新規治療薬として販売承認が待たれている分子標的薬ラパチニブ(海外での商品名「Tykerb」)は、心臓への負担が少ないことが確認された。これは、米Mayo Clinicの研究によるもので、2008年6月号のMayo Clinic Proceedings誌に掲載された。

 この研究は、ラパチニブを用いた臨床試験のうち患者の心機能を評価していた44の試験から、心機能低下例を調べたもの。2001年1月から2006年9月までに、ラパチニブの単独投与もしくは他の抗癌剤との併用投与を受けた3689人が対象だ。心臓への副作用は、グレード3もしくは4の左室拡張機能障害、もしくは無症状でも左室駆出率(LVEF)の20%以上の低下を指標とした。

 その結果、心臓への副作用が確認された患者は60人(1.6%)であった。そのうち、前治療としてアントラサイクリン系抗癌剤を受けた患者は12人(2.2%)、トラスツズマブ(商品名「ハーセプチン」)の投与を受けた患者は14人(1.7%)、どちらも受けていない患者は34人(1.5%)であった。

 また、心機能の低下が見つかった患者のうち53人(83%)は、副作用による自覚症状を持っておらず、LVEFのみの低下であった。また、LVEFの減少が重篤な例は少なく、ラパチニブの投与を継続するか中断するかにかかわらず、ほとんどの患者(88%)は可逆的な変化で、LVEFは後に回復していた。心疾患による死亡もなかった。これらの結果から研究者らは、「ラパチニブの心毒性は低い」と結論づけている。