米Abraxis BioSciences社は2008年7月14日、標準的な化学療法に反応しない転移性乳癌患者、または術後補助療法から6カ月以内に再発した患者に、アルブミン結合パクリタキセル注射「アブラキサン」を適用する許可を中国から得たと発表した。

 アブラキサンの主成分はパクリタキセルだ。これまで乳癌その他の治療に用いられてきたパクリタキセル製剤は溶媒(ポリオキシエチレンヒマシ油)を含んでおり、溶媒に対する過敏症に注意する必要がある。しかし、パクリタキセルをアルブミンに結合させ懸濁液の状態にしたアブラキサンなら、より高用量を安全に投与できる。

 今回の中国における市販許可は、米国と中国で行われたフェーズ3試験の結果に基づくもの。米国で行われた試験は、アブラキサンと主成分が同じであるタキソールを比較したもので、アブラキサンの全奏効率はタキソールのほぼ2倍(33%と19%、P=0.001)という結果が得られている。無進行生存期間の25%延長も見られた。さらにアブラキサンを第2選択として用いた場合には、タキソールに比べ生存期間が27%延長したという。

 用いられた用量に含まれていたパクリタキセルの量は、アブラキサンがタキソールの1.5倍であるにもかかわらず、両群の患者の忍容性は同等だった。

 中国で行われた転移性乳癌患者を対象とする試験でも、溶媒を含有するパクリタキセル注射とアブラキサンが比較された。アブラキサンは、全奏効率を有意に改善(54%と29%、P<0.001)、無進行生存期間を26%延長(7.6カ月と6.2カ月、P=0.118)した。有害事象については両群間に差はなかった。

 Abraxis社は中国でこの製品をカバーする3件の特許を保有しており、5件の特許を申請中だ。

 アブラキサンは既に世界35カ国で市販許可を得ている。アジア太平洋地域では、インドで2007年11月、韓国で2008年4月に承認を得ている。豪州とロシアでは現在市販許可に対する審査が進行中だ。

 日本では、この製品のライセンスを保有する大鵬薬品工業が、2008年3月に乳癌を対象に市販許可申請を提出済みだ。

 現在この製品については、転移性乳癌のほか、非小細胞肺癌、悪性メラノーマ、膵臓癌、胃癌を対象とする開発が行われている。