地域の医療従事者を対象にしたアンケート調査から、自信を持って緩和医療を提供できると自負している医師は2割に満たない現状が明らかになった。看護師ではより低く、1割にも満たなかった。これは、東京大学健康科学・看護学の宮下光令氏らの調査による結果。7月4から5日に静岡市で開催された日本緩和医療学会で発表された。

 この調査は、2007年7月に、鶴岡、柏、浜松、長崎において、病院に勤務する医師(病院医師)、診療所に勤務する医師(診療所医師)、病院に勤務する看護師(病院看護師)、訪問看護師7905人を対象に行われたもの。回答率は37%で、2919票が回収された。

 その結果、緩和ケア提供に関する現状認識として、「自信を持って診療(ケア)に望むことができる」と回答したのは、病院医師19%、診療所医師17%、病院看護師4%、訪問看護師6%のみであった。

 また、「癌に関連した身体症状の緩和手段についての必要なトレーニングを受けた」と自己評価している病院医師は13%、診療所医師は10%、病院看護師は8%、訪問看護師は17%であった。十分なトレーニングを受けていないことが、自信の低さに影響している可能性がある。

 一方、心の問題への対応に関しては、「癌患者の心の問題に関して専門的な知識や援助が容易に得られる」と回答した病院医師は21%、診療所医師は9%、病院看護師は12%、訪問看護師は8%と、医師、看護師とも低くかった。また、「向精神薬や精神療法(カウンセリング)に関する知識や技術は十分」と自己評価している病院医師は6%、診療所医師は12%、病院看護師は2%、訪問看護師は8%であった。この数字は、癌性疼痛に関する知識への自己評価よりも低いものであった。痛み以外の緩和医療、特に心のケアに関するトレーニングの必要性も明らかになったと言える。