一般市民の癌医療に対する安心感は低く、医療用麻薬や緩和ケア病棟に対する誤解もあることが明らかになった。これは、東京大学健康科学・看護学の宮下光令氏らの調査によるもの。7月4〜5日に静岡市で開催された日本緩和医療学会で発表された。

 同調査は、2007年7月に、鶴岡、柏、浜松、長崎において、40歳から79歳の一般市民8000人を対象に行われた。回答率は50%であった。

 「安心して治療を受けられる」という設問に対して、「とてもそう思う」「そう思う」「ややそう思う」と何らかの前向きな回答が得られたのは61%であった。また、「あまり苦しくなく過ごせると思う」(とても〜ややそう思うを含む)と回答した率は41%と低く、「苦痛や心配に十分に対処してもらえる」という回答も46%と半数以下となっていた。

 また、医療用麻薬に対するイメージとしては、「たいていの痛みをやわらげることができる」と回答した率は69%と、医療用麻薬の有効性への認識が広まりつつあることを示唆した。ただしその一方で、約3割弱の一般市民は、「麻薬中毒になったり、禁断症状が出る」(28%)、「寿命を縮める」(27%)という誤解を持ち続けていることも明らかになった。

 緩和ケア病棟に関する回答からは、緩和ケア病棟は「傷みや苦痛を和らげる」(76%)、「人間らしい尊厳のある生活が送れる」(63%)との認識が広まりつつあることが明らかになった。その一方で、「死を待つだけのところで、退院する人はいない」(43%)と誤解している一般市民は約半数と決して少なくないことも明らかになった。