スイスHoffmann-La Roche社は、2008年6月26日、過去に行われたフェーズ3試験で採取された腫瘍標本を分析したところ、抗血管内皮成長因子(VEGF)抗体製剤ベバシズマブは、K-Ras変異の有無にかかわらず転移性大腸癌患者の生存期間を有意に延長することを確認したと発表した。詳細は、スペインのバルセロナで開催された第10回世界消化器癌会議で報告された。

 米Duke大学のHerbert Hurwitz氏が主任研究官を務めたベバシズマブフェーズ3 AVF2107は、治療歴のない転移性大腸癌患者800人超を対象とする無作為化試験で、化学療法(イリノテカン、フルオロウラシル、ロイコボリン:IFL)のみと、これらにベバシズマブを併用した場合の有効性と安全性を比較したもの。

 AVF2107試験の結果は、ベバシズマブにとって最初の市販認可獲得に大きく貢献した。この製品は、米国で2004年2月、欧州では2005年1月に、転移性大腸癌に対する第一選択として5-FU系抗癌剤と併用する許可を得ている。

 今回学会発表されたのは、AVF2107試験で前向きに採取された腫瘍標本のK-Rasの状態を分析し、治療効果との関係を調べた研究の結果だ。大腸癌患者の約半数はK-Rasに変異がある。研究者たちは、K-Ras遺伝子に変異があるかどうかで患者を2分して分析した。標本は当初の被験者の約1/3に相当する230人から得られていた。

 K-Ras遺伝子に変異がない野生型の患者では、ベバシズマブ併用群の方が化学療法群よりも無増悪生存期間が82%長く(7.4カ月と13.5カ月)、全生存期間が57%長く(17.6カ月と27.7カ月)、奏効率も有意に高かった(化学療法のみ群では37%、ベバシズマブ併用群では60%)。K-Ras変異があった患者でも、化学療法のみに比べ無増悪生存期間の69%延長(5.5カ月と9.4カ月)が見られた。

 これらの結果は、K-Ras変異の有無にかかわらずベバシズマブは第一選択薬として有効であること、また、ベバシズマブ適用に先駆けてK-Ras変異の有無を必ずしも調べる必要はないことを示唆する。

 2008年1月、EUはベバシズマブとフルオロピリミジン・ベースの化学療法剤を、転移性大腸癌患者に対する第一選択として、またそれ以降の治療選択において併用することを認可した。これは、実質的に全ての転移性大腸癌患者がベバシズマブから利益を得られることを意味する。