抗うつ薬を予防的に投与することで、頭頸部癌患者のうつ病発症を予防できる可能性が示された。頭頸部癌は、精神的ストレスが大きな癌だ。そのため、診断・治療の過程で、うつ病を発症したり自殺を試みる患者の割合が、他の癌よりも格段に高いことが知られている。

 米ネブラスカ医療センターの研究グループは、頭頸部癌患者の精神的ストレスを緩和することを目的に、頭頸部癌の治療期間中に抗うつ薬(Celexa:日本未承認)を投与し、うつ病の発症抑制率などを調査した。

 抗うつ薬の投与は、手術と放射線治療期間の12週間の間に実施された。そして14週目に患者のフォローアップを行った。臨床試験には36人の頭頸部癌患者が参加し、その半数に抗うつ薬が投与され(投与群)、残りの半数にプラセボが投与された(対照群)。投与群のうち13人、対照群の10人が最後まで試験に参加した。

 その結果、対照群では約6割の患者がうつ状態となったが、投与群でうつ状態と判断されたのは15%に留まった。また、投与開始後12週から16週の間にうつ病と診断された患者の割合は、投与群では17%、対照群では50%であった。

 また対照群では、2人の患者が治療中に自殺を試み、1人の患者がうつ病が悪化したために入院治療が必要となっていた。一方、投与群ではうつ病からの自殺企画や入院治療が必要になった患者はいなかった。

 今回の研究の中心を務めた米ネブラスカ医療センターのWilliam M. Lydiatt氏は、「今回の結果は、非常に有望な結果を示唆するものだ。ただし、症例数が非常に少ないため、今後、より大規模な研究で成果を示す必要があるだろう」と語っている。同グループは、米National Institute of Mental Healthの研究費を得て、既により大規模な臨床試験を開始しているという。