乳癌術後のホルモン療法は、5年〜10年間と長期化している。そのため、患者は長期間の通院に耐え、また、病院側も外来診療が混雑の一途をたどるという問題点を抱えている。この問題を解決するための新しい試みとして、術後のホルモン療法のみを専門とするクリニックが誕生した。術後のホルモン療法に特化したクリニックが開設されたのは、おそらく国内で初めて。

 誕生したのは、ブレストクリニック築地。クリニックの開所は2008年の5月8日だ。聖路加国際病院ブレストセンターとの連携クリニックとして、同病院で手術を受けた患者のみを受け入れる、完全予約制のクリニックだ。

 同クリニック院長の猿丸修平氏は、「術後のホルモン療法が長期化したことから、ブレストセンターの外来患者は累積し、外来診療は一杯一杯。一方、患者さんとしては3時間待ちは当たり前の状況だった」と、ブレストセンターの外来状況を語る。

 そのような状況を改善するため、乳癌術後のホルモン療法のみを専門としたクリニックを立ち上げたという。「このクリニックは、聖路加病院と連携病院となっており、何らかの検査が必要になれば、病院の検査装置を利用できる」と猿丸氏。同クリニックは、超音波検査装置が設置されているのみで初期投資を極力抑えている。一方、CTやマンモグラフィなどの検査が必要なときは、病院を利用できるという訳だ。

 猿丸氏自身も、週に1度は聖路加病院の外来を受け持ち、再発乳癌などを診療している。「再発患者を診療できる医師だということで、患者さんには、もしものときにも対応できるという安心感も持ってもらえるのでは」と猿丸氏。

 また、完全予約制のため、1人当たり最低でも15分の診療時間を割き、ホルモン療法時に独特な、更年期症状や精神的な問題などにも対応していくという。

 「全ての診療は保険診療として行っていくため、収益率は高くないかもしれない。経営的にうまく行くかどうかはチャレンジだ」と猿丸氏は力を込める。

 病院と連携することで、クリニック自体の初期投資費用は抑え、また、継続した患者の確保も可能だ。今後、ブレストクリニック築地が経営的にうまくいくことが示されれば、全国のモデル事業となると期待される。

 また、病院と連携クリニックの役割分担が明確になれば、長期フォローアップ中という、手術や抗癌剤治療中とは異なるニーズを持つ患者に対して、ニーズに合わせた適切な診療を行うことができると期待される。