グリオーマの腫瘍組織内に浸潤しているM2マクロファージ数が多いほどグリオーマの悪性度が高くなることが明らかとなった。5月15日から開催された第97回日本病理学会総会で、熊本大学医学薬学研究部細胞病理学分野助手の菰原義弘氏が発表した。

 熊本大学附属病院で手術されたグリオーマ79症例のパラフィン切片を対象に、マクロファージのマーカーであるCD68、M2マクロファージのマーカーであるCD163とCD204について解析した結果、グリオーマの悪性度が高いほど、M2マクロファージの数が多くなることを見出した。特に、グレードIII、グレードIVでは、CD68陽性細胞、CD163陽性細胞、CD204陽性細胞の数が顕著に増加していた。

 M2マクロファージはマクロファージの一種で、免疫抑制や腫瘍増殖促進、血管新生促進などにかかわる抗炎症性マクロファージとして知られている。未熟マクロファージから分化する形としては、M2マクロファージのほかに、炎症促進や腫瘍増殖抑制にかかわる炎症性マクロファージとしてM1マクロファージがある。マウスでの実験では、M2マクロファージが腫瘍の成長を促進させることが知られている。

 in vitroの実験では、グリオーマ細胞の培養細胞上清をヒト単球由来の未分化マクロファージに加えたところ、M2マクロファージへの分化が促進されることも確認した。

 グレードIII、グレードIVを対象に、M2マクロファージの割合と生存率の関係について解析した結果、CD163/CD68が0.3以上のグループでは予後が悪いことも明らかとなった(p=0.017)。

 菰原氏は、グリオーマ細胞が産生するサイトカインがマクロファージのM2マクロファージへの分化を促進させ、M2マクロファージがさらにグリオーマ細胞の成長や浸潤に最適な微小環境を作り出していると考察し、「癌組織に浸潤したCD163陽性、CD204陽性細胞の割合は、グリオーマの悪性度を評価する指標となると考えられる」と締めくくった。