乳癌の組織型の1つである充実腺管癌に対する術前化学療法の効果予測に免疫組織学的染色における3項目と乳癌サブタイプ分類が有用である可能性が示された。充実腺管癌に対する臨床的増悪(cPD)、病理学的完全奏功(pCR)を鑑別する因子として有用だという。この結果は、5月15日から開催された第97回日本病理学会総会で癌研究会癌研究所病理部の大迫智氏が発表した。

 乳癌患者に術前化学療法を施行した場合、cPDあるいはpCRが得られる割合の高い症例について、その組織型を分析すると3分の2は充実腺管癌であることが知られている。そのため、大迫氏は、cPD症例とpCR症例を詳細に分析することで、充実腺管癌を対象にした術前化学療法でcPDかpCRのどちらかが得られる可能性を予測できる因子が同定できると考えた。乳癌では約8割が浸潤性乳管癌だが、そのうち充実腺管癌はその4分の1を占めると言われている。

 そこで、同研究所で生検標本が保管されていた、cPDが得られた充実腺管癌22例、pCRが得られた充実腺管癌17例を対象に有意差検定を行った。

 形態(HE染色)は、核グレード(核異型スコア、核分裂スコア)、壊死、Bizarreな細胞、リンパ球浸潤、線維化、浸潤部腺腔形成、化生(扁平上皮、アポクリン、紡錘細胞)について、免疫組織学的にはER、PgR、HER2、CK5/6、EGFR、CAM5.2(CK7/8)、GCDFP-15、乳癌サブタイプ分類(Nielsen's criteria)はHER2、Luminal、Basal-like、Negativeについて解析を行った。

 その結果、cPDが得られた充実腺管癌とpCRが得られた充実腺管癌では、形態的には差が認められなかったが、免疫組織学的にはpCR群にHER2が3+、CAM5.2が3+、GCDFP-15陽性例が有意に多いことが明らかとなった。また、乳癌サブタイプ分類ては、cPD群にbasal-likeサブタイプが、pCR群にHER2サブタイプが多いことが明らかとなった。

 大迫氏は、今後、より症例数を重ねることで、これらの因子の有効性についてさらに詳細に検討したいとした。